定款を読む会2021年12月12日
第1回定款を読む会を2021年11月28日、NPO・ボランティアサロンぐんまで開催しました。
NPO法人4団体5名が参加。定款に沿って各法人の歴史や事業内容を紹介。総会での決議事項や事業報告書の書き方等、緩やかな話し合いをしました。他分野の事例は発想の転換の参考になりました。
次回は12月12日(日)13:30~15:00です。新設のNPO法人の方も大歓迎です。
第1回定款を読む会を2021年11月28日、NPO・ボランティアサロンぐんまで開催しました。
NPO法人4団体5名が参加。定款に沿って各法人の歴史や事業内容を紹介。総会での決議事項や事業報告書の書き方等、緩やかな話し合いをしました。他分野の事例は発想の転換の参考になりました。
次回は12月12日(日)13:30~15:00です。新設のNPO法人の方も大歓迎です。
2021年11月12日㈮午後1時半より、「NPO向けスターターキット開発者から学ぶ 簡単・楽々に使いこなせるkintone講座」をオンラインで開催しました。
※この講座は群馬県共同募金会の助成を受けて開催いたしました。
参加者は23名(行政職員1名、NPO法人等17名、中間支援センタースタッフ5名)
《内容》簡単・楽々に使いこなせるkintone講座
講師:NPO向けスターターキット開発者 細谷 崇氏
はじめに 自己紹介
自身でもNPOを立ち上げ、理事をつとめた経緯があり、現在は、フリーのプログラマーとして活動。 「すべての子どもにプログラミングを」をコンセプトした「Coder Dojo」を西宮・梅田で運営、子どもたちに無料でボランティア(メンター)がプログラミングを教える活動を行っている。
サイボウズ(株)公認のkintoneのエバンジェリストとして、NPO向けのスターターキットを開発、無償で配布しているほか、「ブックサンタ」「おてらおやつクラブ」「あかねカレッジ」など各ウェブサイトのシステム開発に携わるなど、 ITのチカラを活かして、社会課題の解決を支えるICTサービスを活かした支援をしている。
kintoneの紹介
★料金について スタンダートコース:普通に契約すると、1500円/月(1ユーザー)
最低5ユーザーから おためし無料30日間
※非営利組織の場合、割引で使えるプランがある。(要申請)
チーム応援ライセンス:9,900円/年(900ユーザーまで)
⇒NPO向けに以下4つのアプリセット「NPOスターターキット」を無償配布している。
会費・寄付入金管理
講座・セミナー管理
参加者申込(講座・セミナー)
関係者管理
★NPOスターターキットについて
4つのアプリから構成されている
実際の画面を見ながら説明
クラウドサービス(kintoneなど)を使うメリットとしては、
・今までエクセルで管理していたものが、クラウドサービスを使うと、事務所に行かなくてもブラウザ上で、いつでも、どこからでも、どのユーザーでもアクセスし閲覧・更新が スムーズにできる。エクセルでは誰かが使っている間はほかの人が使えませんでしたが、同時にアクセスし、更新も可能です。
・カスタマイズすれば、クラウド内の他のサービスとの連携も可能
例えば、kintone内の顧客リストアプリを使うと、 1件ごとに、カルテのようにデータが蓄積され、やり取りの履歴なども記録される。 コメントエリアでスタッフ間のコミュニケーションもスムーズに。
以下、実際の画面を見ながら質疑応答。
参加者より、実際の活動に活かすために、使い方について具体的な質問がありました。
メールを送るためには
サイボウズのmailwise(有料)またはSendGrid(1200通まで無料)をkintoneにプラグインさせるとできるようになる。
豊富な既存アプリがあるので、それを使って自分たちに合うようにカスタマイズして使用することも可能です
kintoneには無償のプラグインサービスがあります。インストールするだけでkintoneの機能を拡張することができます。
各法人の活動内容、方法に合わせて、使いやすいようにカスタマイズすることが可能なため、すぐにでも導入したいという声もありました。
kintoneホームページ
2021年11月12日(金)午後1時30分より、県庁昭和庁舎35会議室で
「信頼されるNPOになるために 評価から知る組織基盤の弱点」セミナーを開催いたしました。
参加者は23名(NPO法人22名 県職員1名)でした。
講師は、山田 泰久 氏(一般財団法人非営利組織評価センター 業務執行理事)です。
公益コミュニティサイト「CANPAN」では様々なNPO支援の活動に取り組み、その後、非営利組織評価センター設立とともに業務執行理事に就任し、組織評価・認証制度の普及に取り組まれています。高崎市のご出身です。
≪内容≫ セミナーの内容を一部抜粋して紹介します。
1) ミッション達成のためのガバナンスという考え方
「ガバナンス」は「統治・支配・管理」という意味です。団体自身が団体を自律的に運営していくための仕組みです。
NPO法人は、目的を達成するために組織運営を行います。そのためにはガバナンスはとても重要です。
例えると、NPO法人は小規模団体であることが多く、リーダーがすべての管理をしてしまうことがあります。
しかし、集めた寄付金や会費などを一人事務局で誰の目にも触れていないと、横領などといったことが残念ながら起こってしまうことがあるのです。
最近ではSNSでの炎上などもあります。不祥事を防止するためにガバナンスが必要です。
組織運営を行っていくための秘訣
権利の分配(リーダーが何でも決めるのはダメ。ルール化を)
信頼関係の構築(でも、100%任せきりにしない)
緊張感の保持(チェック体制・監事監査を)
NPOの運営は、これまで(10年前くらい)強いカリスマリーダーが引っ張っている印象でしたが、ここ最近はコミュニティ型でいろいろな人が参画しており、多様な価値観が求められています。
権限の分配が基本の形と言えます(意思決定・報告/監視・業務執行)
2)ガバナンス視点の組織運営のポイント
非営利組織の経営原則は、「ガバナンス」・「コンプライアンス」・「ディスクロージャー」です。カタカナで難しいかもしれませんが、簡単に説明いたします。
ガバナンス:上記でも説明しましたが、統治・支配・管理です。継続して団体を運営していくことと、問題を防止するための仕組みです。
コンプライアンス:法令順守です。法律を守るためだけではありません。社会的責任や倫理性、利益相反防止なども含まれます。
ディスクロージャー:情報公開・情報開示のことです。公開義務のあるものはしっかりと、それ以外も自主公開することも大切です。
最近は、調べたいことは、まずネット検索します。ネットに情報が無いと、大丈夫なのか? 怪しいのでは? と思われてしまいます。
公開することで、透明性を保ち説明責任も果たせます。
市民が監視している民主的な活動団体がNPOです。情報開示は、信頼度をアップするためにもしっかり行いたいところです。
基本の基本として、「特定非営利活動促進法」と「定款」はしっかりと確認しましょう。
積極的に取り組むものとしては、「労働基準法」「個人情報保護法」などの法令、社会規範・社会的責任・倫理観、社内ルールや規程です。
以前に比べて、しなくてはならないことが多くなっている印象ですが、支援者・寄付者・受益者・スタッフ視点でガバナンスというルールを守り、健全な運営を行っていきましょう。
3)評価基準に基づく組織運営
信頼されるNPOの3つのポイント
・活動のすばらしさ(広報)チラシ・HP・SNSなど
・関係者の情熱と誠実さ(コミュニケーション)身近なところでの通じ合い
・まっとうな組織運営(情報公開)決算書や事業報告を公開していますか? 公開している姿勢を見られています。
リアルな接点から信頼を獲得していきましょう。
第三者評価基準を元に、つまづきやすいポイントを公開します。
項目1:役員改選
法令および定款に則って代表者および役員(事理3人以上、監事1人以上)を選任または解任している。
(多くの団体で役員の任期は、2年役員改選を総会で行うと定款で定められています。そのため、2年に一度は総会で役員改選を議決する必要があります)
つまづきやすいポイント:設立1回目の役員改選を忘れてしまっている。
新任理事の議決だけ行い、再任理事について議決をしていないことも。
定款の記載を確認し、役員改選の時期を把握・管理することが大切です。
項目2:理事会の開催
定款に基づく役員会(理事会、運営委員会等)を年に2回以上開催している。
(事業計画・予算を策定するために年度末に1回と、事業報告・決算を議決するための定時社員総会前に1回の計2回は、少なくとも理事会を開催することをすすめています)
つまづきやすいポイント:定時総会前に年に1回だけ、理事会を開催しているというケースが多くあります。
理事は、その個人的な能力や資質に着目し、法人運営を委任されている者であることから、基本的に自ら理事会に出席し、議決権を行使することが求められます。
また理事は「書面による議決権の行使(書面表決)」が可能とされていても「議決権の代理行使(委任状出席)」は多くの団体で定款の定めがありませんので、ご注意ください。
項目3:総会の開催
総会を年に1回以上、実際に開催している。
(意思決定機関である役員会(理事会)が持つ業務執行権限とは別に、総会を最高意思決定機関と位置づけ、定款に則って総会等を開催します)
つまづきやすいポイント:毎回、決議の省略(みなし総会決議)を行っていて、議題について審議していないというケースがあります。
正会員が実際に集まらずとも、様々な新たなIT ・ネットワーク技術を活用することによって、実際上の会議と同等の環境が整備されるのであれば、総会を開催したものと認められます。(その場合、役員のみならず、正会員も発言したいときは自由に発言できるようなマイクが準備され、その発言を他者や他の会場にも即時に伝えることができるような情報伝達の双方向性、即時性のある設備・環境が整っていることが必要です。定款の変更も忘れずに)
項目4:理事会・総会議事録
役員会および総会の議事録を定款および法令に基づいて作成している。
(意思決定プロセスの執行機能状況を記録するため、開催した事実を証拠とする資料として議事録を作成する必要があります)
つまづきやすいポイント:理事会の議事録を作成していないケースがあります。
例えば、理事同士で定例の月1回のミーティングを行っているものの、議事内容を記録に残していない場合なども。
その他に、定款や法令で定められた議事録の記載事項が一部抜けているケースもあります。(頻繁に理事会を行っている団体は、意思決定ある会議のみ公式の理事会とするなど、議事録作成の負担を減らすのはいかがでしょうか)
また、社員総会と理事会で記載する項目が違っていますので注意が必要です。
議事録の内容について、①審議事項と報告事項に分けること、②審議事項については議決結果を記載することも大事なポイントです。
項目5:重要事項の審議
事業計画・予算計画および事業報告・決算報告
(定款によって、重要な審議事項は理事会及び総会のどちらで議決するのかが規定されています)
つまづきやすいポイント:定款どおりに審議されていないケースがあります。
役員の報酬に関する規程
(「役員報酬の支払い無し」、「役員に対して給与としてのみ支払い実績あり」と申告した団体は役員報酬の支払いが無いことを決算書から確認できます。
「役員報酬の支払い実績あり」の団体は役員報酬規程の有無と、その審議を行っていることを議事録から確認します)
つまづきやすいポイント:役員との取引が決算書(財務諸表の注記など)に記載されていないケースがあります。
また報酬額が定款・規程どおりに審議されていないケースがあります。あらためて定款で理事会及び総会の議決事項を確認してみましょう。勘違いしたまま毎年手続きを行っていることもあるようです。事業計画と予算、事業報告と決算でも手続きが違ってきます。
役員報酬額は定款や規程に基づいて理事会や総会で審議決定しましょう。役員報酬額は予算に計上されているので、予算の一部として承認されていることもありますが、ひとつの議案として審議決定を行うことをおすすめします。
項目6:監事監査
監事は監査を行っている
(運営・執行機能をけん制する監督機能が適正に働いていることを示すことが重要です)
つまづきやすいポイント:会計監査を行う前に総会で承認している場合があります。
また、会計監査のみ行い、業務監査を行っていない場合もあります。
監査は、監事による監査→監査結果の理事会への報告→それを踏まえた理事会における決算承認→総会における決算承認の時系列になっています。
また、監事の職務として「理事の業務執行の状況を監査すること」と定められています(特活法第 18 条)。監事は理事会に出席するようにしてください。
ガバナンスの要の監事の役割を解説した「NPOの監事ハンドブック」はこちら
https://jcne.or.jp/2021/07/13/npo-auditorhandbook/
項目7:役員登記
直近の登記事項を登記している
(直近の登記事項が記載されている履歴事項全部証明書により、変更登記の状況を確認できます)
つまづきやすいポイント:役員選任に伴う役員変更登記を忘れているケースが見受けられます。
特に、同じ方が代表理事に再度就任(重任)された場合は、同一人物なので変更登記は不要と勘違いされていることもありそうです。
また、役員変更の登記が半年以上経ってから行われているケースもありました。重任の時も登記の必要があります。
また、変更の効力が発生する日から2 週間以内に行う必要があります(法人法 第303条)。
①変更登記を忘れずに行う、②期限内に登記をする、という2点に気をつけてください。
項目8:情報公開
法令で定められた書類を事務所に備え置き、閲覧可能な状態にあるとともに 定款、役員名簿、事業計画、事業報告書、会計報告書類、役員報酬をウェブサイト上で公開している。
(団体の透明性を高めるために、法令で定められた書類の事務所備え置き以外に、積極的にウェブサイトで公開をすることを推奨しています)
つまづきやすいポイント:事業計画が掲載されていないケースが比較的多いようです。
また、会計報告書類については決算資料のうち、一部の資料しか掲載されていないこともよくあります。
説明責任や透明性のために、積極的に情報公開をすることを推奨しています。サイトに公開されていても、わかりにくいところに掲載されている、外部のポータルサイトに掲載していてリンクが貼ってないなどの状況もありますので、改善が必要です。
貸借対照表の公告
公告の方法として、次の 1~4 の方法のいずれかを定款で定めることができます。
1.官報に掲載する方法
2.日刊新聞紙に掲載する方法
3.電子公告(内閣府 NPO法人ポータルサイトを利用する方法を含む)
4.公衆の見やすい場所に掲示する方法
(内閣府 NPOポータルでは法人入力情報に団体自ら入力する必要があります)
2018年10月より貸借対照表を作成後遅滞なく公告することが義務づけられました。定款の変更はできているでしょうか?
H29貸借対照表の公告についての調査
https://nposalon.kazelog.jp/npo/2019/02/post-aa04.html
H31決算書調査
https://nposalon.kazelog.jp/npo/2021/03/h31-2f90.html
できていると思っていても、間違って記憶していたり、うっかり忘れていたり…などあるものです。
事務担当だけが一連の流れを把握していても、負担が大きく正しい運営ができていないかもしれません。実際は、役員や正会員の協力が必要なことも多いものです。
情報を共有して、皆の力で健全なNPOの運営を目指しましょう。
組織評価認証を受けることで信用度が高まり、助成金申請、求人、寄付、ボランティアにつながります。
また、不備や不足を発見する健康診断の役割もあります。
普及期間のため現在は無料で受けられるとのことですので、興味のある方は非営利組織評価センターのHPまで。
非営利組織評価センター:https://jcne.or.jp/
2021年11月12日(金)午後1時20分より、県庁昭和庁舎35会議室で
群馬NPO協議会「NPO法人向け 組織基盤強化助成金説明会」を開催いたしました。
今回は、NPO法人 市民活動を支援する会 萩原香 氏による説明です。
群馬NPO協議会では、Withコロナにむけて、デジタルトランスフォーメーションを支援する助成金の募集を開始しました。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、ITの活用を通じて、活動モデルや組織を変革することです。
これまでの例として、セミナー参加費用、会計ソフト導入、オンライン環境の整備などに助成してきました。
DXと聞くと難しく感じますが、デジタルを取り入れ、情報発信・管理強化・環境整備にお役立ていただきたい助成金です。
2022年度は、1団体あたり上限10万円、総予算は30万円です。
会員限定ですが、応募の際の入会も可能です。
1.年会費 3,000円 (会員期間:2021年4月~2022年3月)
※途中加入・脱退での減額はありません。
申請書提出期限:2021年12月28日 必着
詳しくは、パンフレットをご覧ください。
https://nposalon.kazelog.jp/npo/2021/10/with-dx-a1ac.html
2021年11月5日(金)午後1時より
県庁昭和庁舎26会議室で関東信越税理士会群馬県支部のご協力により
「インボイス制度」「税理士による個別相談」を開催いたしました。
参加者は17名(NPO法人16名 県職員1名)でした。
≪内容≫
①インボイス制度について
前橋税務署 久保寺正之 氏
品目ごとの消費税率や税額を請求書に記載する「インボイス」制度が、2023年(令和5年)10月より開始となります。
今年10月よりインボイスを発行する事業者の申請が始まりました。
今回は動画による適格請求書等保存方式(インボイス制度)の概要について説明がありました。
事業者は消費者から受け取った消費税から、仕入時に発生した消費税を「仕入税額控除」制度で差し引き、国に納めています。
インボイスは消費税率や税額を正確に伝えるために発行する請求書のことで(消費税が8%から10%にアップした際にスタートした軽減税率が導入のきっかけとなりました)消費税額の計算が複雑化する問題を解消し正確な消費税額を把握するための制度です。
制度開始後は、「適格請求書発行事業者」に割り振られた登録番号を明記したインボイスの発行、保管が義務づけられ納税時に必要となります。
では、実際のところ、すべての事業者がインボイスに対応する必要があるのでしょうか。
いえ、そんなことはありません。
県内NPOの多くが小規模事業者で、課税売上高が1000万円以下の「免税事業者」となっています。
免税事業者は煩雑な税務をこなすことが難しいため、納付を免除されています。
インボイスの事業者申請をすると「課税事業者」となり、これまで支払っていなかった消費税を納めることで収入が減ってしまいます。
免税事業者のまま事業を継続する場合は、インボイスの申請は不要で、これまでどおりで構いません。
しかし、取引先が課税事業者であった場合、インボイスがなければ仕入税額控除ができず納税額が増えるため、取引先から外されてしまう可能性がありますので注意が必要です。
また、取引先の課税事業者からインボイス登録を求められる可能性もあります。
事業規模・業種・業態・取引相手など、さまざまな要素を考え、判断する必要があります。
詳しくは、国税庁HP インボイス特設サイトまで https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
概要、申請手続き(e-Tax)、オンライン説明会、Q&A、YouTube動画、電話での問い合わせ先など掲載されています。
セミナー当日に配布しました、国税庁作成インボイス制度の案内を、若干ですがサロンで配架しています。
②税理士個別相談
税理士 大武ゆかり先生 池田正彦先生
参加者の方からの質問や、前回の会計セミナーで上がった質問に、ちょこっと相談としてお答えいただきました。
一部をご紹介いたします。
質問:PCを99,000円(税込)で購入した場合の会計処理は?
回答:10万円未満までは費用計上できます。10万以上~20万円未満の場合は3年減価償却ができます。
国税庁HP(消費税等の会計処理方式の違いによる少額の減価償却資産の判定)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5403_qa.htm
質問:有償ボランティアへの支払いについて。交通費・食事代・源泉徴収について。
回答:謝金や交通費・食事代は規程を作ることが大事です。
実費の交通費であれば問題ないですが、1回500円などの場合、旅費規程に基づき支給しているのであれば旅費交通費で処理できます。
有償ボランティアとしての謝金でも、規程を作り支給することが大切です。
ボランティアの方がサラリーマンの場合、雑所得が20万円までは確定申告が不要なので、年数回のボランティアである場合は源泉徴収をしなくても良いと判断できることもあります。
謝金を支払いする場合は、個々の状況に応じて判断することも可能です。
規程については社会通念上で考え、納得できるルール作りを行いましょう。
セミナー講師などの講師謝金の場合は、個人の場合には源泉徴収(10.21%)します。
国税庁HP(源泉徴収が必要な報酬・料金等とは)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
源泉徴収するべきか個々の事案によって変わってきます。判断がつかない時は、税務署や専門家にご相談ください。
質問:2022年1月に改正電子帳簿保存法が施行されますが、どういったことですか?
回答:2022年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となります。
メールで請求書や領収書のデータを受領した場合や、ホームページから請求書や領収書をダウンロードした場合など、今までは印刷して保存していましたが、これからはそのような電子データの場合は、データ保存することになります。印刷する必要はありません。
ハードディスク、CD・DVD、クラウドサービスなどにファイルを保存します。バックアップデータもあると安心です。
国税庁HP(電子帳簿保存法Q&A 令和4年1月1日以後に保存等を開始する方)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/4-3.htm
NPO法人の場合、認定NPOや法人税を納付している団体が対象となりますが、この先すべての団体・法人が対象となることも考えられます。対応できるようにしたいですね。
電子取引データに関する事務処理規程を作っておくことも大切です。
国税庁HP 電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(法人の例)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm
個別相談では、市の委託事業を行うことになった際の人件費についてご相談がありました。
全体としては、委託費を受け取るのが期末となるため、大変なご苦労があるようです。
収益事業となる場合、法人税の納付や給与の支払いが発生するため、申告等が必要となり、そういった際は税務署に一度相談してみましょう。
委託を受ける際には、フルコストの考え方、積算の重要性を知っておく必要があります。
2021年10月21日に開催した 協働コーディネートを学ぶ③「フルコストリカバリーとは」では、協働におけるフルコスト回収のための積算基準共有の重要性を学びました。
セミナー動画がNPO・ボランティアサロンぐんまのブログにありますので、ぜひご覧ください。https://nposalon.kazelog.jp/npo/2021/10/2021-11c6.html
補助金に係る消費税仕入控除税額報告について
報告された仕入控除税額は補助金により賄われており、補助事業者は負担していないことから、補助金交付者(国、県)に返還をする必要があります。
返還額がない場合でも報告は必要です。
返還額がない場合
消費税の申告をしていない。
簡易課税方式により申告している。
特定収入割合が5%を超えている。(社会医療法人以外の医療法人を除く)
補助対象経費にかかる消費税を、個別対応方式において、「非課税売上のみに要するもの」として申告している。
補助対象経費が人件費等の非課税仕入となっている。
詳細は下記(群馬県:補助金に係る消費税仕入控除税額報告について)
https://www.pref.gunma.jp/02/d1000099.html
内部規定にはどのようなものを盛り込んだほうがよいのか?
誰に どのような時に いくら支払うのか
理事 監事もその対象となる
どのような会議に出席したときとか
交通費であればどのような出張が対象となるかなど
交通費として内部規定されたものは交通費として、 謝金として内部規定されたものを謝金として仕訳る。
クオカードを使ったお礼について 規定で謝金として規定したのであれば、謝金として仕訳する
2021年10月21日(金)午後1時半より、 Zoomにて「協働コーディネートを学ぶ 第3回 フルコストリカバリーとは」を開催いたしました。
参加者は30名(行政職員5名、NPO法人等11名、中間支援センタースタッフ13名、その他1名)
はじめに、前回までのふりかえり、今回は協働の中での委託契約における様々な課題、特に委託契約の中の積算の考え方について学ぶことを確認。
《内容》協働におけるフルコスト回収のための積算基準共有の重要性
関西大学商学部教授/公認会計士 馬場英明 氏
はじめに 自己紹介
愛知県で長らくNPO、中間支援に関わる中で、
2007年「行政からNPOへの委託事業の積算に関する提言」(愛知県)の作成に関わる。
~ ボランティアやサークル的に活動していたNPOが、行政から委託を受けて事業を行うようになったものの、事業をやればやるほど苦しくなっていくという課題について、実務者会議を立ち上げ、「委託事業の積算」について、行政(NPO担当者)と話し合い、まとめたもの。
※行政とNPOが対等に協働するための協定「あいち協働ルールブック2004」に基づいた提言で、愛知県が2007年に公表したものの、積算自体の理解が進んでいないのが現状。
この提言の中で、①適正な人件費単価、②必要な経費科目、③団体を維持するための間接費 が積算されていないことが課題として挙げられている。
論点①人件費単価
委託事業としては、公共工事の工事請負、および清掃や警備等の業務委託が中心で、住民サービスに広く参画することが想定されていないため、そもそも積算の基準がない。
→NPOの専門性・ノウハウを活用した事業については、企業等との公平性を考慮しながら、事業の内容に見合った適正な人件費単価で積算することが必要である。
論点②管理費・ボランティア
事業を実施するために必要となる作業及び経費を適正に見積もり、過不足なく積算する必要がある。直接費のほか、間接費として、適切な管理費水準は30%程度。
論点③官民のイコール・フッティング
行政側が見ているのは事業予算のみだが、組織全体ではそれ以外にも様々な間接経費がかかっている。コスト節減は、事業費だけでなく、フルコスト全体を考慮して比較しないと、不公正(アンフェア)になる。
なぜフルコスト回収が必要か?
★継続性・・短期的にはボランティア・サークル的に活動できても、中長期的には組織体制を整備しないと続かない
★多様性・・異なる主体間でも対等・公正な契約条件を整えないと、特定の主体しか協働事業に関われなくなる。
★専門性・・責任をもって事業を遂行するためには、相応の専門性と管理体制が求められる。
まとめ
★短期的に事業ができるかどうかだけでなく、目的性・対等性・責任分担・持続性の観点から、
どのような協働事業にはフルコストが担保されるべきか、官民の相互理解を深める必要がある。
(群馬県「協働による地域づくりに関する指針」参照)
参考資料
l愛知県(2007)「行政からNPOへの委託事業の積算に関する提言」
https://www.aichinpo.jp/7_keisyo/wakugumi/kyoudoukaigi/sekisanteigen0710/sekisanteigenhakkou.html
動画
2021年10月15日(金)、NPO・ボランティアサロンぐんまにて
活動に活かす会計「上期の集計」持ち寄り学習会を行いました。
NPO法人 3団体 4名が参加しました。
NPOの会計については、一般会計とは違い、NPO会計基準に沿っておこないます。
そのため、会計内容に不安、正しい会計や書式になっているか心配など、さまざまな悩みを抱えがちです。
今回の学習会では、NPO・ボランティアサロンぐんまのコーディネーターが個別に内容を確認し、複雑化しているものは簡潔でわかりやすいものに置き換えたり、エクセル簡単会計の実習を行ったり、NPO会計基準を説明したり、各団体に合った方法で対応いたしました。
今回の相談では、会計を月ごとに集計しているためエクセルのシートがいくつもできてしまい、複雑化している事案がありました。
エクセルで自作のファイルを作成し計算している努力は素晴らしいのですが、細分化しすぎると決算書を作成する際に集計がとても大変です。
エクセルで会計を行う際には、クロス集計でピボットテーブルを活用すると手間を省くことが可能となります。
その仕組みを使用しているのが「エクセル簡単会計」です。
手書きや自作のエクセルで計算している方は、簡潔な会計が可能ですので、取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、事業報告書に記載されている活動計算書や貸借対照表、財産目録を確認すると、日付や単位(円)の記載もれや、書式が違っていることがあります。注記も必要ですが、記載がない場合もあります。
そういったことの会計の全体的な説明も行いました。
特定非営利活動促進法では、NPO法人が積極的に情報公開を行い、それを市民がチェックするよう定められています。
そのための、正確で比較可能な会計報告書を作成するルールがNPO法人会計基準です。
NPO・ボランティアサロンぐんまでは、エクセル簡単会計、NPO会計基準についてのご相談も受け付けております。
今後も会計に関するものを含め、さまざまなセミナーを開催予定です。
開催日の近いセミナー
・インボイス制度について
・税理士による個別相談
・組織基盤の弱点
・kintone(クラウドサービス)NPO向けスターターキットについて
・決算見通しを立てる など
これからの活動に活かしていただけるセミナーです。
ご予約をお待ちしております。
2021年9月10日(金)午後1時半より、
Zoomにて「協働コーディネートを学ぶ 第2回協働コーディネーターとは」を開催いたしました。
参加者は30名(行政3職員5名、NPO法人等11法人15名、中間支援センター6スタッフ11名、その他1名)
はじめに、前回(8月20日 第1回 協働と共創 本質を学ぶ)について振り返り
群馬県の場合、「協働5つの原則」に基づいて、協働事業を行っている。
今回は、先進的な取り組みを行っている横浜市に話を聞く。
横浜市は独自の定義を行い、条例のもとに「横浜市市民協働推進センター」を設置、協働コーディネーターを配置。群馬県でも参考にしていきたい。
《内容》
1. 協働コーディネーターが活躍するための環境整備とは 条例・契約のあり方 施策
講師:横浜市 市民局 協働推進課 係長 工藤 謙一氏
・はじめに 横浜市について
1889年~市制施行により横浜市誕生
人口:約378万人(R3年8月)(現在でも増加傾向)(基礎自治体としては日本一大きい)
①横浜市の協働の経緯、施策の位置づけ
高度経済成長期~1990年代 市民自身が身近な地域課題解決に取り組む機運の高まり
NPO等が公共的なサービスの一翼を担うまでに成長・発展
協働推進の指針、条例整備 市民活動と協働に関する基本方針「横浜コード」(平成11年)
市民活動推進条例(平成12年)
市民協働条例(平成24年)
→現在、協働は市の施策の大きな柱に
「市民協働推進センター」「地域福祉保健計画」「ヨコハマ市民まち普請事業」
また横浜市の政策や方針にも協働は重要な考え方として位置づけられ、社会の価値観の変化を象徴したキーワードの一つとして明記されている。
★中期4か年計画(2018~2021) 基本姿勢3 地域コミュニティの視点に立った課題解決
政策33「参加と協働による地域自治の支援」
★横浜市職員行動基準(令和3年4月改定)
「・・地域や社会の課題をともに解決するため、市民をはじめ多様な主体との協働・共創に取り組みます・・」の文言が追加、横浜市職員の頭に入れてあって当然のこととという認識。
★横浜市市民協働条例(平成25年4月施行)
目的:市民協働を進めるうえで必要となる横浜市や市民等の責務、踏まえておくべき基本的事項を定め、市民の活動や市民協働の環境を整備するとともに、市民の知恵や経験を市政に反映することにより協働型社会の形成を図ること
ポイント ・協働を担う「市民等」:NPO、企業、地縁団体、学校・・広く全ての「市民」
・市民協働事業の提案
・協働契約・・協働事業実施にあたっての契約締結
②横浜市の協働契約
★まず、協働事業の基本原則《横浜コード》
協働はそれ自体が目的ではなく、具体的な目標達成のための手法であるため、
「進め方」が重要。
そのための基本原則として、以下の協働の6原則を尊重することが重要。
・対等の原則
・自主性尊重の原則
・自立性尊重の原則
・相互理解の原則
・目的共有の原則
・公開の原則
★協働契約の契約形態・・事業の具体化にあたって適切に実施できる事業形態を検討する。
※契約書のひな型も公開している。
・委託型 ・・市が有していない専門性、柔軟性等が求められるような事業に有効
・補助型 ・・市民が主体となって行う事業について、市が公益上必要であると認めた場合に、
市が資金面(事業費)で協力する形態
・負担金型 ・・協働で行う公共公益的な事業について、経費を市(またはお互い)が
負担する形態
・共催型 ・・イベント等の実施にかかる企画・広報・実務において市民と市の両者の特性、
ネットワークを活かす事業に有効
※協働契約と委託の主な違い
・・双方が対等な立場のもと、企画立案から遂行までお互いの認識を出し合い、合意の上で進める。お互いに合意した内容を協働契約として明文化し、役割分担しながらより良い課題解決や市民サービスの実現を図っていくもの。
③協働契約の事例
・委託型 「ヨコハマ市民まち普請事業」
(NPO法人 市民セクターよこはま・横浜市住宅供給公社 都市整備局まちづくり課)
・補助型「広域大規模災害時における行政、社協、NPO等の連携体制構築」
(災害復興くらし応援・みんなのネットワークかながわ〔通称 みんかな〕
市民局市民協働推進課)
・負担金型「SDGsデザインセンター事業」
(共同事業者JV 温暖化対策統括本部SDGs未来都市推進課)
2. 協働コーディネーターの役割と具体的活動事例
講師:横浜市市民協働推進センター 統括責任者 チーフ協働コーディネーター 吉原明香氏
①「横浜市市民活動推進センター」~協働の未来をつくろう~(横浜市市庁舎1階)
センター機能の紹介
自分たちが住んでいるまちをよくしたい、活動したい、どこに相談したらいいんだろう・・
今まで相談先がなかった人たちのあついおもいを受け止める受け皿になっている、
総合相談窓口のようなところ。
②コーディネート実践例
H氏プロジェクト(4月~8月の経過)
H氏(税理士)より相談・・事務所の半分のスペースを地域開放、子育て支援につながれば
地域子育て支援拠点(NPO)に参画要請、意見交換。養護施設を卒業した子どもの支援している。
区社協に参画要請、意見交換
・・子どもが育つ上で、小さなころから地域のなりわい企業とつながれれば、、
中学校でキャリア教育プログラム行っているNPOに参画要請、意見交換。
近隣の私立の中学・高校の副校長、フリースクール運営してる先生に参画要請・意見交換。
・・発達障害や、学校にも家にも居場所がないと感じている子どもたちと、地域のなりわい企業をつなげられたら・・
→H氏(税理士)が、人材確保に困っている顧客の中小企業の経営者に声かけ、上記メンバーと意見交換(予定)
★ポイント:定例会議に持ち込むのが大事
③人材育成について
協働コーディネーターにふさわしい人材は、企業と協働の経験があるNPOリーダーなど。
現在センターでは、8人のコーディネーターが動いているが、「協働」について共通認識を持って進めるために、協働のイメージをビジュアルにして共有している
協働プロジェクトを進めるうえでのポイント
セミナー後半は、Zoomのブレークアウトルームを使い、5~6名でのグループで、講師の吉原氏・工藤氏の講義についてディスカッションを行いました。
印象に残ったこと、質問してみたいことを分かち合い、各グループでの発表となりました。
協働コーディネート、協働契約と委託契約の違い、横浜市の協働事業の事例について印象に残ったというコメントが多くありました。
資料のイラストデザインも印象的でした。
講師の 工藤謙一 氏によると、
横浜市では「協働」が条例で定められているため、行政に丸投げではなく、協働で納得できる事業となり、課題解決に効果を上げているとのことでした。
市が大変だからといったことで業務委託するのではなく、協働にすることで、より良く、ニーズのすり合わせができ、ミスマッチが起こりにくいといった効果を得られ、とても意味のあるものとなっているそうです。
「協働」「共創」がトレンドとなっているのもうなずけます。
講師の 吉原明香 氏は、
協働のコーディネートをする上で、数多くの企業や団体とつながりを持つことが重要であり、コーディネーターの育成・新人発掘にも力を入れているそうです。
NPOと企業のコーディネートは、結果を焦ってはならず、じっくり進めるためにステップを踏んで時間をかけることも必要とのことでした。
心の奥底にあるものを人との出会いから主体的に気づき、パートナーとして一緒にやっていきたいという気持ちの高まりがプロジェクトの成功につながるそうです。
NPOとして企業とのコラボにコツがあるとしたら、「営利」を拒否しないことがあげられるそうです。営業と思っても奥底には地域に役に立ちたいという気持ちが隠れていることがあり、そこに気づいてもらうことが必要です。
相手の文化にも合わせられるよう、努力も必要だと言えそうです。
無理だと思っていても、一段一段積み重ねていくと関係性が積み上がり通じていく。今はコロナでの危機感があるが、共有することで社会を変えていく原動力となり、チャンスの瞬間が訪れているのかもしれない。と講義を締めくくりました。
講義を聞き、横浜市の各セクターの方の熱心さに刺激を受けました。
私たちの活動にも「協働」「共創」を意識して取り組む必要があると感じました。
横浜市 協働についての参考資料(リンク)
2021年9月3日(金)午後1時より、県庁32階NETSUGENにて
DXセミナー2021「DX事例発表会」を開催いたしました。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言のため、オンライン開催に変更となりました。 参加者は42名(行政職員7名、NPO法人16名、中間支援センター12名、一般企業5名、取材2名)
様々なセクターの方にご参加頂きました。
≪内容≫
開会の挨拶 生活こども部 部長 平井敦子氏
第1部 基調講演 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
①DXとは 市⺠活動における可能性
⼀般社団法⼈⽇本デジタルトランスフォーメーション推進協会
代表理事 森⼾裕⼀ 氏
講師の森戸氏は、デジタル化による組織や地域の変⾰⽀援を得意分野とし、内閣官房より全国でわずか5名の「シェアリングエコノミー伝道師」に任命される凄腕です。
⾃治体と連携した地⽅創⽣⽀援やDXの推進に全国規模でご活躍です。
総務省地域情報化アドバイザー、サイバー大学教授、名古屋⼤学•熊本⼤学客員教授ほか、大学生による地方創生支援活動を行うNPO学生ネットワークの理事長もされています。
今回の講演では、短時間の中で多くの貴重なアドバイスをいただきました。
特に印象的なのは、NPOや市民活動にこそDXの推進が必要とのことでした。
(プラスして、シニア・地方・中小企業・子どもの教育等も)
デジタルをフル活用することで業務を効率化し、余った時間や人材などでアイデアを生み出せば課題解決につながります。そしてデジタルは視野も広がります。
難しいと思わずに思い切って取り入れることが、時間やお金、アイデアが出ないといった悩みを抱えるNPOや市民団体には必要なのかもしれません。その一歩を踏み出す力になったのではないでしょうか。
本年の9月1日にデジタル庁が設立されました。デジタル化、DXは進んで行くはずです。
どう幸せに生きていくか。それを実現させるデジタル革新がDXなのだと思いました。
②群馬県の DX に対する取り組み、現状について
群馬県知事戦略部デジタルトランスフォーメーション課
課長 古仙孝一 氏
≪内容≫ 発表内容を簡単にまとめました。
1・新・総合計画(ビジョン)におけるDX
群馬から世界に発信する「ニューノーマル」誰一人取り残さない自立分散型社会の実現。
2040年までに、ニューノーマル下の魅力向上で世界のフロントランナーに立つ。
まず、行政・産業のDXを集中的に推進し、3年以内に日本最先端クラスのデジタル県になることを目指す。
県民の幸福度向上のためのDX。DXを取り入れることで、業務等の簡略化をはかるだけでなく、より良く変えることが重要。
2・ぐんまDX加速化プログラム(案) ※今年10月頃に策定予定
目標:3年間で日本最先端クラスのデジタル県に。県全域、官民連携で推進していく。
また、教育の分野では産業界と連携したデジタル人材育成事業を進める。
子どもたちの環境に関わらず、デジタルスキルを学ぶ機会の平等を図る。
官民共創で50のモデル事業をアップ予定。
3・地域課題解決に向けたDXプロジェクト
地域課題解決に向け、デジタル技術を活用して地域課題の解決を目指す事業者と庁内関係課が連携・協働する仕組みを構築し、最適な手法での解決に向けた道筋を示す。
4・官民共創スペース「NETSUGEN」
「NETSUGEN」は、デジタルとアイデアが融合し、新たな価値を生み出す場。
コワーキングスペース運営・交流事業・コーディネーター事業を行っており、各種イベントも開催しているので有効活用してほしい。
上記の内容を聞き、DXがどのような形となって私たちの生活に現れるのか、期待を大きくしました。実際にワクチン接種のLINE予約など、身近にDXは広がってきています。
第2部 DXを用いた地域課題解決の事例発表、質疑応答
1. NPO法人ターサ・エデュケーション 無料学習動画サイトによる学習支援
代表 市村均光氏
はじめに、自己紹介および活動内容の紹介
NPO法人ターサ・エデュケーションは、今日本で6人に一人と言われている「貧困」状態の子どもや、18万人いるとされる不登校の児童生徒を対象に、子どもたちが孤立し、自己否定感を持たないよう、それぞれの子どもの状況に合った支援を行っている。
活動内容としては
・学習動画配信
・フレーベン(ボランティア家庭教師→児童養護施設))
・フリースクール こらんだむ・・学校との連携、情報共有、出席日数扱い など
今まで延6000人を支援してきた
メディアにも積極的に取り上げてもらい、地域と課題を共有して、支持、支援を広げられるようにしている。
事例紹介① 無料学習動画サイト運営
「ノートムービーズ」(学習動画配信)2016年1月から
特徴・無償・・誰でも学ぶことができるように
・ノートを使用した動画・・同じ目線で学ぶことができるように
・撮影者は教員免許保持者・・安心して学ぶことができるように
ノートムービーズで学ぶことによって、1回の授業では理解できなかったことが理解できるようになり、勉強がわかるようになり、自主学習するという好循環が生まれる。
事例紹介② 動画を活用した学習支援
2020年6月~2021年3月までの期間、試験的に学習動画を活用した学習支援事業を実施
・対象者:前橋在住のひとり親家庭などの中学3年生
・料金:500円
ICT学習支援の成果として、学習時間が増加し、学力の向上が見られた。
メリットとして、子どもに対して個別最適化の学習指導ができるようになり、学力指導に不安のある人も支援にかかわることができるようになった。
ターサエデュケーション https://tasa-education.jimdofree.com/
ノートムービーズ https://note-movies.com/
2.NPO法人 地域診療情報連携協議会
新型コロナウイルス感染予防 無料WEBサービス「発熱パスポート」
代表 瀧澤 清美氏
はじめに、自己紹介および活動内容の紹介
NPO法人 地域診療情報連携協議会は、市民と医療の架け橋。
瀧澤氏自身の経験を通して、自ら必要性を感じ、情報弱者への情報支援に注力。
ITと医療両分野の幅広い知識を活用し、現在遠隔医療研者として活動している。
デジタル化の事例として、医療通訳支援システム「メディカルランゲージ」を紹介
DXとは「組織や地域のあらゆるプロセス(意思決定フローや業務フロー)を時代や市場ニーズに合わせて、IT技術を使って変化できるようにすること」と考えている。
社会に変化をもたらすDXの事例① 発熱パスポートプロジェクト
新型コロナ感染症の感染拡大をいかに防ぐか?
→体調管理できる新アプリを開発した(28言語対応)
体温等を入力、記録することで、体調悪化時に行動変容をうながす。
企業に導入して、組織の健康状態を見える化することで、安心、安全な職場づくりにつながる。
ポイント・外国人にも使いやすいシステム
・アプリをダウンロードしなくても使える
・高齢者やITに弱い人も使える工夫が必要
メディアでも紹介された(2020年10月19日 ほっとぐんま630 )。
群馬県 「ニューノーマル創出支援事業」の支援も受けている。
企業や学校などの法人は有償(月額100円)だが、個人が無償で使えるような工夫をしている。
社会に変化をもたらすDXの事例② 「リモートコネクト」
現在、新型コロナ感染症が、デルタ株により感染拡大が激しくなって自宅療養者が増えてきている
保健所の電話による健康観察はキャパオーバー。自宅療養者にオンライン診療を無償提供できればと考えた。
発熱パスポートと同様、企業・法人は有償とし、個人(自宅療養者)が無償で使えるようにしている。
リモートコネクトの多言語、自動翻訳の機能は医療以外にも活用できる。
(行政窓口、海外との取引、訪日外国人向けサービス など)
発熱パスポート https://fever.center/
リモートコネクト https://remote-connect.info/
3.玉村町住民活動サポートセンターぱる 「ぱるチャンネル」による団体活動紹介
事務長 竹内 猛氏
はじめに、自己紹介および活動内容の紹介
2011~玉村町住民活動サポートセンター「ぱる」(公設公営)
2013~一般社団法人たまむら住民活動支援センターに業務委託(公設民営)
・ふるハートホールの貸館業務
・住民団体の活動支援
(団体が活動しやすい環境づくり、イベントの開催、行政ではできない業務:電動バス運行業務など)
登録団体の活動分野は、環境整備、福祉、文化、ものづくり、まちづくりなど幅広い。
現在、コロナ禍で休館中
→団体は活動停止状態
→活動継続の危機
→年に一度の活動発表、交流の場である「ぱる祭り」開催できない
その状況を打開するために、アナログからの挑戦(今までは紙ベース、リアルな集客イベント)
→YouTubeへのチャレンジ
「ぱるチャンネル」開設 2020年9月配信開始
団体活動紹介の動画を配信
ぱるチャンネルの効果としては、動画撮影のために活動を継続した団体がいたり、動画をアップすることで、いつでもどこでも知人、親戚などいろいろな人に見てもらえる、またそのことで団体活動の励みになるという声があった。また、LINEなどにチャレンジしようとする団体が増え、スマホの操作に関する相談が増えたということも成果として挙げられる。
まとめ・・アナログのよさはもちろん大事だけれど、現在のコロナ禍でデジタル時代に応じた情報発信の方法も「あり」だと身をもって感じた。
ぱる ホームページ https://www.kyoudou-tamamura.org
ぱるチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCwundMfzKn3gFBBNdzO9hPg/featured
DX事例発表会当日の様子(動画)
2021年8月20日(金)午後1時半より、
県庁32階NETSUGENにてセミナー「協働コーディネートを学ぶ 第1回協働と共創 本質を学ぶ」を開催いたしました。
当初ぐんま男女共同参画センターを会場として予定しましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言のため、オンライン開催に変更となりました。
参加者は35名(行政3職員8名、NPO法人等10団体15名、中間支援センター6 スタッフ12名)
様々なセクターの方に参加頂きました。
内容
開会の挨拶 県民活動支援・広聴課 課長 小野里隆行 氏
1.新・群馬総合計画における官民共創
群馬県知事戦略部戦略企画課未来創生室 室長 関根則子 氏
新・群馬総合計画は、20年後の目指す姿を描く「ビジョン」と、これを踏まえて、今後10年間に重点的に取り組む具体的な政策を体系化した「基本計画」の2つをあわせた、新たな総合計画として策定されました。
総合計画の一部抜粋したものが紹介されました。
・総合計画の目指すビジョン実現のため必要な2つの軸
価値創造軸(価値を生む自立分散型の地域社会)
SDGs軸 (持続可能な自立分散型地域社会)
・持続可能な自立分散型地域社会の創生には官民共創コミュニティを立ち上げる必要がある
・官民の力が繋がることが、公共にイノベーションを生む→安心感のある居場所、すべての県民の幸福感の重要な要素
2.官民共創スペースNETSUGENを活用した共創の目指すもの、今までの活動、利用の実態
有限責任監査法人トーマツ 高崎連絡事務所 木島士紹史 氏
・NETSUGENは2020年12月、県庁32階に設置された官民共創スペース
・企業やNPO,大学などの研究機関の他、県民が直接参加し、現場の課題を丁寧に掘り起こし、
公的サービスを担えるようなコミュニティが集う場
・官民共創による新たな事業創出、地域課題解決により社会変革につなげていく拠点
・事業内容について
1.コワーキングスペースの運営(月額個人会員、法人会員、学生会員)
2.セミナーなどの交流事業(70回開催)
3.コーディネータによる各種相談や県内外事業者とのマッチング(利用者145回66名)
NETSUGENについて https://netsugen.jp/
3.群馬県の協働の指針について 協働と共創の整理
群馬大学教授 小竹裕人 氏
・協働の指針について
平成20年度「NPOと行政との協働に関する指針」 行政と民間が協働を育むプロセス
平成31年度「協働による地域づくりに関する指針」行政なしでも推進可能
NPOの他企業、教育機関等新たな担い手が主体的に地域課題の解決に参加する
・社会的企業と呼ばれる分野 社会的課題解決が目的、収益を社会の支援に充てる
・協働と共創について
共通点 2つ以上の組織・人が相乗効果をねらう
相違点 社会的課題・公共的課題解決を第一義としていない
協働…社会的課題の解決 公共性が強い 収益は少ない
共創…新しい価値、ネットワークやアイデアの交流の場 収益を上げていく
登壇者からのコメント
関根氏:協働は異なる分野が参加することで生じる化学変化。地域課題解決のためのビジョンを描き、目標設定しともに実現していくこと。
木島氏:NETSUGEN利用者にはNPOも多いので、NPO・ボランティアサロンぐんまと定期的に意見・情報交換する必要がある
群馬県デジタルトランスフォーメーション課補佐 横堀知明氏
横堀氏:営利企業を支援するNETSUGENと非営利組織を支援するサロンの交流は、相互にとって有意義な発展になる。営利企業にもコミュニティビジネスの視点が必要で、非営利組織も発展のためには企業的発想、運営やマネジメントが必要になっていくる。相互理解と課題意識を共有して新たな活動のステージを目指す。
NETSUGENとサロンにセミナーを通じて接点が生まれました。
当日の様子 動画で視聴できます。
次回のお知らせ(いずれもZoom開催です)
第2回 9月10日(金)13:30から16:00 協働コーディネーターとは
条例や契約の在り方について
第3回 10月21日(金)13:30から15:50 フルコストリカバリーとは
NPOへの委託契約における、事業に必要な経費、積算について