フォトアルバム

NPO・ボランティアサロンぐんま

  • 〒371-8570 群馬県前橋市大手町1-1-1 県庁昭和庁舎1階 TEL:027-243-5118 FAX:027-210-6217

サロン業務のご案内

  • ボランティア募集・ボランティア活動希望・NPO相談・イベント情報などサロンの日常をお伝えしていきます。 群馬NPO協議会は群馬県よりNPO・ボランティアサロンぐんまの運営を委託されています。

開館時間のご案内

  • 2024年4月1日 ~開館時間 平日10:00~17:00、土曜日10:00~17:00、日曜日、祝日、全館閉館日、年末年始は閉館となります。
  • 荒天時(特別警報発令時、大雪等の場合)には休館となる場合があります。

NPO法人会計基準

  • TypePad に登録する

最近のトラックバック

2024年7月24日 (水)

NPOの成長を目指す4つのステップ①ミッション・ビジョンを言語化してみよう

2024年7月13日(土)13時半から16時半

群馬県庁2階ビジターセンターにて

基盤強化セミナー「NPOの成長を目指す4つのステップ」第1回ミッション・ビジョンを言語化してみようを開催いたしました。

Dsc00199

講師は公益財団法人 日本非営利組織評価センター業務執行理事 山田 泰久 氏です。

Dsc00210

参加者はNPO法人13名、市民活動団体6名、個人2名、中間支援センタースタッフ5名、行政職員1名 計27名です。

このセミナーは4回の連続でNPOの運営に必要な内ノウハウを学ぶことができます。

第1回のテーマは「ミッション・ビジョンを言語化してみよう」です。

内容

spadeなぜ、NPOは情報発信するのか?

 NPOの活動は外から見て分かりにくいもの。よい団体は、よい活動とよい情報発信を行っている。

_1_

第1回 「ミッション・ビジョンを言語化してみよう」山田 泰久 氏 資料より 

 組織の外部に対して

  活動の中の感動を文章、写真、HPなどに可視化する

  活動を通じて得られるものを価値化する

  組織の外部に対して活動を分かりやすく伝える→共感が生まれる→組織の発展へ

 組織の内部に対して

  団体内の情報を共有することで活動の理念を共有する

 オープンであること=人、場所に資源が集まる NPO活動を継続するために不可欠

 誰もが市民活動に参加できる機会を提供する

spadeミッションとビジョン 団体の内外で共通認識できるものを整理する

 ミッション 役割

       団体の使命や存在意義・組織の理念・目的 地域や社会の中での役割

 ビジョン  どうなりたいか?

       組織の目指す理想の姿・中期的目標・恒常的な活動 達成したいこと 

spadeNPOの情報発信の大前提を確認する

Npo

第1回 「ミッション・ビジョンを言語化してみよう」山田 泰久 氏 資料より 

 2つの情報発信の方向性、必要性

  ① 組織に関わるスタッフ、ボランティアや寄付者等の支援者のため

  ② サービスを受益する人、その家族や専門支援者、行政関係者等 受益者のため

  →NPO最大の特徴でもある

 団体が伝えたいことより、相手が知りたいことを発信する

  HP,ブログ 雑誌のようなもの 団体での発信

  SNS ネット上での雑談、口コミ 個人での発信 

spade誰に情報を伝えたいか?

 年代、ライフスタイル等対象によってインターネット、紙媒体の両方を使い分ける必要(例:過去の紙媒体の情報もネットに掲載する)

 情報発信の目的、発信後に何を目指すか設定した上で情報発信を行う

 説明→団体や活動を知ってもらう

 コミュニケーション→情報の受け手との関係づくり

 アクション→寄付やボランティア、イベント参加など

spade発信の仕方、発見のされ方

 ネット上で信頼してもらうために情報開示、提供、情報開示しているという姿勢

 信頼を得る3つのポイント 団体(組織運営)、活動(活動内容)、人(役員、スタッフ)

 情報発信力を高める

  発信する情報の年間、月間スケジュールを作成

  同じ分野で情報発信の上手な団体をお手本にする

  情報を届けるターゲットを絞り、イメージをした情報発信を行う

  ターゲット層が利用しているツール、見ているサイト、時間帯を調査し効果的な情報発信を行う

講座の中でワークショップも行いました。

参加者の方3,4名でグループになり内容を共有

Dsc00202

1.ミニワーク 団体の情報発信状況を共有する

2.ミッション・ビジョンを言葉にする

  地域や社会の視点と組織やメンバー内の視点で考える

spadeまとめ

様々な情報発信ツールがあり、情報に溢れている昨今。

多くの情報の中で団体の情報を埋もれずに探してもらうにはどうしたらよいか?

届けたい人を具体的に設定し、情報発信した後に起こしたい変化を想定し計画的な発信を行うことの必要を学ぶことができました。

またそのためには、まず自分達で団体の活動を的確に表現できることが不可欠です。

普段は活動に追われがちですが、ワークを通じて団体の活動を振り返り、

ミッション・ビジョンの言語化をして、整理する機会になりました。

県内のNPO法人のHP調査結果からは、サービス受益者に関する情報は多いと感じましたが(施設の案内、利用料など)

一方で法人を支援する側の人に対する情報は少ないのが現実です。(役員、決算報告等の団体の基本情報の公開、寄付、入会、ボランティア募集など)

参照:2019年度 NPO法人の情報公開の状況についての調査

https://nposalon.kazelog.jp/npo/2020/02/post-5e7d.html

外部と内部に対して情報発信を行うという方向性を常に意識することが、重要になってくると思いました。

 

 

 

2024年7月13日 (土)

定款を参考に解決 7月20日

団体の年間事業について話をしたい人、聞きたい人、7月は出会いの月です。NPO法人の先輩に聞きたいことがある人、お待ちしています。

20240713_143817_0001_3

2024年6月 8日 (土)

【参加者募集】NPOの成長を目指す4つのステップ

NPO・ボランティアサロンぐんまでは、下記の通りセミナーを開催いたします。

ミッション、ビジョンの見える化から、情報発信、支援獲得まで学べる、連続講座となっております。

セミナーの申込は、【こちら】からどうぞ!

0527_pagestojpg0001

0527_pagestojpg0002

2024年5月 9日 (木)

【報告】初めての決算 ~午後~

いつもNPO・ボランティアサロンぐんまのブログをご覧いただきまして、ありがとうございます!

今回は2024年3月23日(土)に開催した、「初めての決算セミナー」午後の部の開催報告になります。

このブログでは…

pencil助成金について

pencil会計基準

pencil簡単エクセル会計実務(希望者)

pencil会計王実務(希望者)

の4つについての開催報告をご紹介します!

pencil助成金について

Dsc00170jpg1

群馬県共同募金会 星野 様

実際に助成するにあたり、星野様が見ているところを紹介してくださいました。

助成する側もどんな団体や法人なのかしっかり見ているということが分かりました。

また助成金に応募する時、どんなことを書いたらいいのか・書類のどんなところ見ているのかなど貴重なお話を聞くことができました。

応募する際、どんな活動をしてきたのかという点に重きを置いて書こうとしてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?

どんな活動をしてきたのかももちろん大切ですが、助成する側は今後どう事業を展開していくのかその道順も書かれているか、計画性などがあるかどうかも見ているということが分かりました。

【15団体 21名 参加】

pencil会計基準

Dsc00173jpg1

NPO・ボランティアサロンぐんま コーディネーター

なぜNPO法人会計基準があるのか?

どうして決算書を作成する必要があるのか?

決算書も毎年度作成して、提出が必要になってきます。

この決算書は助成金の審査などでも見られている部分になってきます。

また決算書は提出した後は修正は行われず、外部に公開されます。

そのため会計基準がどんな内容なのかという説明がありました。

実務的な部分は、下記の内容で行いました。

(実務の部分は、希望者の方がご参加されました。)

【15団体 21名 参加】

pencil簡単エクセル会計実務(希望者)

Photo講師:NPO・ボランティアサロンぐんまコーディネーター

規模の小さい法人に向けて、無料でダウンロードできる「簡単エクセル会計」の実務演習を行いました。
受講者は、実際に「簡単エクセル会計」を操作しながら、例題を元に入力して数値が合っているかを確認しました。

「簡単エクセル会計」は「期末に現預金以外の資産・負債を持たない」小規模法人向けのツールです。それぞれの法人ごとに、仕分け項目等をカスタマイズでき、簿記の知識がなくても日々の入出金をその都度入力していけば、年度末にはほぼ自動的に決算書を作成することができる便利なツールです。今回は、設立して間もない法人の参加が多く、「これなら自分たちのの団体で今後活用できる」という声が聞かれました。

pencil「会計王」実務(希望者)

→会計ソフト機能及び導入の説明

会計王についての説明は、NPO・ボランティアサロンぐんまコーディネーターが行いました。
2法人3名が参加しました。

NPO会計基準での会計ソフトは複数ありますが、会計王は大変使いやすいソフトです。
決算書類も自動で作成できます。

このソフトでは、部門分けが可能のため事業ごとの管理が可能です。
また、電子帳簿保存法にも対応しています。

法人税法上の収益事業を行っている団体が会計ソフトの契約を検討されている場合は、税理士・会計士の担当の方にご相談のうえ、対応が可能なソフトの導入をお勧めします。

  

2024年4月24日 (水)

【報告】初めての決算 ~午前の部~

初めての決算 ~午前の部~

  • 日時:3月23日(土)10:00~12:00
  • 場所:群馬県庁昭和庁舎3F
  • 参加人数:35名(NPO法人・24人、その他3人、関係者8人)

◆NPO法人の税務

  • 説明者:群馬県税務課 小河 和紘さん

Photo_6

大きく2つの項目に分けて説明していただきました。

1.税法上の収益事業について

法人税法上、34業種が収益事業に該当します。

NPO法上の「その他の事業」と、法人税法上の「収益事業」の考え方は、下記のようになります。

1_2

NPO法上では、「その他の事業」とされない事業であっても、法人税法上は「収益事業」と判断される場合があります。

NPO法人は、株式会社などのように営利を目的としている法人ではないため、現行の法人税上の収益事業から生ずる所得のみが課税対象とされています。

そのため、NPO法人の本来の目的である、非営利活動に係る事業であっても、その事業が法人税法上の収益事業に該当する場合は、法人税の課税対象となります。

具体的な事例として、(1)国や地方公共団体等からの委託事業を行なっている、(2)バザーに関することをお話しいただきました。

法人税の申告や法人税法上の収益事業について、不明な点は所轄の税務署にお問い合わせいただくことをお勧めします。

2.法人の事業税・住民税について

①県税(法人の事業税・法人の県民税)

設立した日から2ヶ月以内に「法人設置申告書」を所管の行政県税事務所に提出が必要です。法人税法上の収益事業を行なっていない場合でも提出が必要ですので、注意が必要です。

また、法人税法上の収益事業を行う場合とそうでない場合では、申告及び納付の方法が異なります。

法人税法上の収益事業を行わない場合は、法人の事業税は課税されませんが、法人の県民税の均等割は課税されます。毎年4月30日(4月30日が土日振替休日の場合は翌日)に所管の行政県税事務所に申告納付する必要があります。

ただし、法人税法上の収益事業を行わない場合には、申請により法人の県民税(均等割)が減免される場合があります。

減免を受けようとするNPO法人は、毎年4月30日(4月30日が土日振替休日の場合は翌日)までに「法人の県民税減免申請書」を所管の行政建材事務所に提出してください。

2

②市町村税(法人の市町村民税)

市町村にもNPO法人を設立した旨の届出が必要になります。また県民税と同様、税法上の収益事業を行わない場合、法人税割は課税されませんが、均等割は課税されます。ただし、こちらも減免申請することで減免される場合があります。詳細は、市役所及び町村役場にお問い合わせください。


◆わかりやすい事業報告書の書き方

  • 説明者:NPO・ボランティアサロンぐんま コーディネーター 乾 幸乃

Photo

NPO法人は、毎事業年度終了後3ヶ月以内に事業報告にかかる書類を提出する必要があります。

事業報告書は、所轄庁に提出するだけでなく、団体内部で事業を振り返り、次に活かすこと、また会員やボランティア、寄付者、その他の関係者への報告にも活用できます。事業報告書は内閣府のポータルサイトで公開されます。

公開された情報は、市民や企業、行政、助成財団等が見ていることから、今後のNPO法人の発展に繋げるためにも、工夫が必要になります。

▼盛り込んだ方がいい事項

  • 1年の総括、全体の課題
  • 目次(内容が多い場合は目次があると読みやすい)
  • 事業ごとの目的、概要、成果と課題(写真や図、グラフ、数値化などでわかりやすく)
  • 総会、理事会、役員会、会員数、運営体制
  • 金銭にカウントできないボランティア活動、時間
  • 物品寄付など

初めて事業を知る人にもわかりやすい文章、用語の統一、言葉使い、引用の出典元の明記、個人情報が適切に扱われているかなどに注意し、複数のスタッフで作成、校正などを行うことをお勧めします。


◆NPO法人の信頼に向けて ~理事・監事の役割~

説明者:NPO・ボランティアサロンぐんま コーディネーター 真下 真帆

Photo_5

理事の役割と責任として、事業評価、事業分析、事業・予算計画、中長期計画・資金計画など、通常業務の中でも責任が伴います。他にも資金調達や広報、情報発信、理事会や総会に関わることなども、理事の役割となります。監事の役割としては、業務、会計の監査、総会での報告があげられます。

また、毎年の所轄庁に提出する事業報告書だけでなく、貸借対照表の公告も行っていただく必要があります。今回NPOサロンで実施した決算書調査によると、定款通りに公告がされていた団体は7%。公告していない団体が25%。不明が68%という結果が出ました。定款で貸借対照表の公告の「掲示場」となっている場合、確認ができないことから「不明」の率が高くなっていることも理由にあげられます。

NPO法人の信頼性を向上させるために、適切な情報開示と、役員が日頃から随時自己監査を行い、その結果を踏まえ、監事が監査をするということが重要です。

※なお、2022年度決算書報告の詳細については下記のリンクからご参照ください。

令和4(2022)年度 公告調査結果

令和4(2022)年度 決算書調査


◆群馬県からの情報提供

  • 説明者:群馬県県民活動支援・広聴課 田中 さやかさん

①NPO法人の書類提出部数について

各種手続きに係る書類の提出部数がすべて1部になりました。

  • 館林市、藤岡市、玉村町、明和町については、各市町で定めていますので、各市町にお問い合わせください。

②住民基本台帳ネットワークの活用による住民票の添付省略について

就任承諾書及び誓約書使命を本人が自署しており、住民基本台帳ネットワークシステムの利用を希望する旨及び生年月日を記載した場合は、住民票補添付を省略できます。

  • 館林市、藤岡市、玉村町、明和町においては、これまでどおり住民票の添付が必要です。

③内閣府ウェブ報告システムについて

群馬県では、「内閣府ウェブ報告システム」によるオンライン申請・届出等の受付が令和6年3月より始まりました。

これまで書面で提出していた申請・届出等について、オンラインで提出が可能になりました。これまで通り、書面による申請・届出等も受け付けています。

(注意)

  • 館林市、藤岡市、玉村町、明和町での「内閣府ウェブ報告システム」の導入時期については、未定です。
  • 登記に関する手続きをオンラインで提出する場合であっても、「登記事項証明書」の原本を別途郵送又は持参する必要がありますので、ご注意ください。

内閣府ウェブ報告システムについての手続きマニュアルは、下記のサイトからご確認ください。

アカウントの新規登録

ログイン画面

2024年4月 5日 (金)

【報告】DX活動事例発表会 DXの力で課題解決へ ~子ども支援の取り組みから~

◆日時:2024年3月7日(木) 13時30分~15時00分
◆場所:NPO・ボランティアサロンぐんま
◆事例発表:
 NPO法人共に暮らす 代表理事 アジズ・アフメッドさん
 NPO法人居場所作りサポートsamiitos 理事長 今田裕子さん
◆パネルディスカッション・ファシリテーター
 NPO法人ターサ・エデュケーション 代表 市村均光さん
◆参加人数:9名(会場)、12名(オンライン)


今回の「DX活用事例発表会」では、デジタルトランスフォーメーションを活用して、子ども支援に取り組んでいる2つの団体さまから発表していただきました。

NPO法人共に暮らす(ともくら)代表のアジズ・アフメッドさんは、日本で仕事をしていた父親と一緒に暮らすため、9歳の時に家族と一緒にパキスタンから来日しました。

現在は企業の広告や映像制作などを手がける、合同会社NOW NEVERの代表でもあります。

01

▲NPO法人共に暮らす 代表理事 アジズ・アフメッドさん


《ことばのヤングケアラー》

アジズさん、来日当初は当たり前ですが日本語が全くわからないまま、公立の小学校に入学しました。渡日の子どもたちは大人に比べると、比較的早く日本語を習得することが多いのですが、その場合子どもが通訳をするということがよく見受けられます。

実際、アジズさんも日本語ができるようになると、保護者の通院や行政手続きのため、学校を休んで付き添うというような経験をしてきました。このような子どものことを「ことばのヤングケアラー」といいます。

本来なら子どもは勉強をしたり、友達と遊んだり、部活をしたり、将来に思いを馳せたりと…と、子どもとしての時間が必要なはずなのに、「ことばのヤングケラー」となっている子どもたちは、その時間を家族のために費やしています。かといって家族も他に頼る術が少なく、身近な子どもに頼らざるをえないという現状があります。

また学校や役所、病院などでも双方とコミュニケーションができる子どもたちに、つい頼ってしまっていることについて、子どもに負担がかかっていることを理解しつつも、他に術がないという場合もあります。

《実体験にもとづいて、活動をスタート》

アジズさんは大学時代、日本語教育をテーマに研究。自身の子どもの頃の経験にもとづき、日本の小学校で必要な持ち物を説明する動画を制作しました。日本の学校文化は独特で、外国人にとって理解することが難しいとのこと。このような説明動画があることで、正しい情報が入り、子どもや保護者そして学校などの負担が軽減されます。

Dx_compressed9_page0001_2

▲持ち物動画。Youtubeで公開されている。

また日本と違い、高校まで義務教育の国もあるため、日本では高校入学のための試験があることについて理解されていないこともあります。

高校入学や将来の職業選択について動画などを活用し、多言語で広く発信することで、子どもたちの将来の選択肢が広がることが期待されます。

Dx_compressed17_page0001

ともくら YouTubeチャンネルでは、小学校で必要となる持ち物動画や、2023年に開催された「日本の高校、専門学校、大学の進学と職業がよくわかるセミナー」についても動画で見ることができます。今後は、それらを多言語化していきたいと考えています。

www.youtube.com/@tomokura-official

また、ショート動画でも「ことばのヤングケラー」などについて、わかりやすく解説したショート動画を発信しています。

Dx_compressed15_page0001

NHKのサイトでの取材記事もぜひご覧ください。

https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20221124a.html


2団体目の発表者は、NPO法人居場所づくりサポートsamiitosu(サミートス)理事長の今田裕子さんです。

サミートスさんは高崎駅からほど近い店舗を拠点として、子ども食堂・学習支援・地域の居場所づくりを三本柱とした活動をされています。特に学習支援活動では、直接指導の他、オンラインでの学習を軸に、児童養護施設や生活困窮家庭の子どもたち1人ひとりに寄り添う学習の場を提供しています。

07
▲NPO法人居場所作りサポートsamiitos 理事長 今田裕子さん

《オンライン学習のきっかけはコロナ禍》

2020年のコロナウイルスによる感染症拡大を防ぐために行われた「一斉休校」をきっかけに、オンライン授業に踏み切ることになりました。送迎の必要がなく、遠方の子どもへの支援も可能になり、隙間時間を活用するなどのオンラインのメリットがわかってきたそうです。

オンライン授業に手応えを感じたことから、2021年度は児童養護施設での個別指導をスタート。2022年度には、生活困窮家庭や学習が苦手な生徒たち、不登校の小中学生へと無料学習支援の対象者を拡大しました。

オンライン授業を支えるのは、主に東京在住の大学生の有償ボランティアたちです。彼らもまたコロナ禍でアルバイトが減ったりと、厳しい状況になっていました。東京からでもボランティア活動ができるのはオンラインならではです。

《スケジュール管理の難しさをアプリで解決したい》

生徒や講師が増えるともちろん授業も増えます。そうなってくると難しくなるのが、生徒と講師のスケジュール調整です。なんとか負担軽減できないかと思い、開発したのが「スケジュール登録・管理」アプリです。お客さん(会員)にプログラマーの方がいたこともあり、開発に1年半かけ、2023年夏よりスタートし、現在は試用期間中です。講師が空いている時間を登録し、生徒はそれを見て授業を予約するというシステムです。一見すると単純なようですが、開発には時間も費用もかかっています。

Nposamiitosu9_page0001_2

▲講師は、空き時間を登録

Nposamiitosu10_page0001

▲生徒は、学習したい時間などを選択

このアプリを使うことで、大学生の講師たちにとっては、自分たちの空き時間を登録することができ、時間の有効活用ができます。生徒側は、自分で授業を予約することができるので、より主体的にかつ積極的に学習に取り組む姿勢が生まれてきたそうです。以前は、ドタキャンも多かったとか…。

このスケジュール管理アプリが機能することで、管理者であるサミートスさん側もスケジュール調整に時間を費やすことが減ったことで、その時間を学習支援に充てられることになり、また授業が成立しない時の謝礼に悩まされることもなくなったそうです。


後半のパネルディスカッションでは、NPO法人ターサ・エデュケーションの代表理事である市村さんがファシリテーターをつとめてくださいました。

06

▲NPO法人ターサ・エデュケーション 代表 市村均光さん

市村さんのNPO法人でも学習支援活動をされています。NPOは、制度になっていなかったり、マイノリティの声を受けて、活動や支援を始めることが多いということ。前半の発表を踏まえ、また参加者からの質問にお答えしながら、「子ども支援」×「DX」について、さらに深掘りしていただきました。

《オンライン上での信頼関係は成り立つのか?》

参加者の皆さんも気になっていたことだと思いますが、オンライン上でコミュニケーションがうまくいくのか? リアルな場面での信頼関係があってこそ、オンラインでの信頼につながるのでは?と思っていました。

今田さんによると不登校の子どもたち、生活困窮家庭の子どもたちは、まず顔を出すことからして戸惑いがあるそうです。実際のオンライン学習支援でも顔は出さず、教材を画面共有をすることで、授業にも集中できるとか。

DXは、今の時代にあった子どもの支援が可能になるのではないかと今田さんは考えています。昔の日本と違って、人と人との関わりが薄くなっているのが現在の社会の姿です。

しかしオンライン学習支援を通して気づいたこととして、オンライン上であってもコミュニケーションが生まれ、信頼関係を育んでいくことは可能であること。実際に会う機会はなくても、継続して学習を続けることで小さな成果が積み重なり、成功体験となります。小さな成果をその都度、SNSを通じて保護者に伝えることで、保護者とも信頼関係を築いていくことができます。

たとえオンライン上であっても子どもたちが安心して学べる場があり、また信頼できる人とつながっていることは、子どもを通じて保護者への支援にもつながっていると手応えを感じているそうです。

コロナ禍で必要に迫られ始めたオンラインでの学習支援が思わぬ効果をうみ、さらにアプリ開発へと発展している事例ですが、オンライン授業をする中で、その良さに気づき最大限に活用しているサミートスさんの活動。

声だけ、文字だけでも、オンライン上がサードプレイスになり得るということに、学習支援だけでなく、他の活動でも参考になると感じました。

03

《デジタルで隙間を埋める

ともくらさんでり組んでいる、小学校で必要な持ち物動画などは、一見子どもを対象としているようですが、保護者にこそ必要な情報です。外国人への直接の支援として、ぐんま外国人総合相談ワンストップセンターが設置されていたり、市役所でも相談窓口を設けています。

県内には各地に日本語教室もありますし、医療通訳を担うボランティア団体もありますが、言葉の壁もあることからその情報にアクセスすること自体が難しい現状があります。またご近所付き合いなども希薄ということもあり、直接情報を得る手段が限られています。

今後、ともくらさんでは、このような情報をまとめて検索できるようなポータルサイトの開発も検討しているそうです。本来なら行政が取り組むことではないのかと、多少の疑問もありつつも、現状を少しでも変えていきたいという強い思いがあります。インターネットを活用することで、困っているときにすぐに調べられるということは、とても重要なことです。

05

話が深掘りされていく中で、共通していたことは「子ども支援」は、子どもだけが対象でなく、保護者への支援ということでした。

オンライン、デジタルでの関係性は一見すると希薄のような気もしますが、対面ではできなかったことや、難しかったことをデジタルを活用することで、その隙間を埋めることができるという可能性を感じました。

また学校や行政、他団体など、様々な社会資源とも、リアル+オンライン上でしなやかにつながっていくことで、時間はかかるかもしれませんが、一歩ずつ課題解決に近づくのではないかと思います。

04

また市村さんから、NPOはボランティアとの調整がとても大変で、かつ収益も上がりづらいということも多い中、サミートスさんのようにアプリを開発し、活用することで負担が減り、事業の継続や発展につながっていくことは、「DX化」の大きなプラス要素というお話もありました。

「子ども支援」、「DX化」。どちらも課題が多く、団体にとっては「DX化」も大きな悩みかもしれません。2団体の発表とパネルディスカッションから、今後の活動のヒントにつながっていただければ幸いです。


アンケート結果より

こどもたちや中高生に向けた支援について学ぶことができ、またその支援にデジタルを交えることでより手厚い支援ができるような仕組みを作ってらっしゃる皆さんのお話がきけたこと。

外国にルーツを持つ子どもたちや、その保護者を環境面からも支援すること、その居場所支援の大切さと大学生が社会経験をできることの大切さを当協会の学習支援でも伝えていきたいと思います。

《お詫び》

今回のセミナーでは、会場とオンラインでのハイブリッド開催とさせていただきました。『DX』セミナーにもかかわらず、発表者の顔がオンライン上では見られなかったことなど、不慣れな部分がございましたことをお詫び申し上げます。サロンとしましても、コミュニケーションを第一に「DX化」を進めていければと思います。


◆今回、登壇していただいた、3団体様のWEBサイトもぜひご覧ください。

NPO法人共に暮らす

NPO法人居場所づくりサポートsamiitosu

NPO法人ターサ・エデュケーション

2024年2月24日 (土)

NPOが信頼と共感を得るための情報発信セミナー

2024年1月27日(土)、午前10時より県庁昭和庁舎35会議室にてNPO法人向けセミナー「NPOが信頼と共感を得るための情報発信」を行いました。

Dsc00065参加者はNPO法人13名、中間支援センタースタッフ2名、企業1名、その他2名 計18名です。

講師は公益財団法人日本非営利組織評価センター 業務執行理事の山田泰久 氏に務めていただきました。

Dsc00086山田泰久 氏

NPO法人の活動に不可欠の情報発信とは、効果的なSNS活用方法、情報発信の意義について学びました。

spade内容:あらためて情報発信を考える~SNSを活用しよう~

・情報発信・情報開示はなぜ必要か

・情報を伝えたいターゲットを絞り込む

・ターゲット層別のSNS活用状況を知る

・ミニワーク:情報発信の状況についてグループで共有

・各サイトの使い分けについて(HP、ブログ、Facebook,X)

・個人情報保護法について

Dsc00102

spade誰に、何を、どのように届けるのか?

・NPO活動は外から見てわかりにくい、活動の可視化&価値化をして感動を伝え、共感を得る

・団体概要、活動、役員やスタッフの情報開示→組織運営への信用、活動内容への信頼、人への共感のセットでより信頼を得る

・NPO法人の情報発信のコンセプト

 内容:共感、信頼、問題提起(地域課題についてetc.)

 目的:説明、コミュニケーション、アクション

 発信主体:団体、個人、参加者

・インターネットの大幅な普及、紙媒体も一方でまだ必要…情報を届けたい人に応じてツールを使い分ける

spadeSNS、ブログ活用について

 ・ホームページ、ブログ 検索して探す、雑誌のようなもの 団体で発信 固定的情報

 ・SNS ネットでの雑談、口コミ、個人で発信 流動的情報

 ・年代別SNS利用状況

  10~20代…スマホによるネット利用が多く、TV,PCをあまり見ない 検索は動画でLINE,Twitter,Instagram,Tik TokやYoutube

  30代…Facebook利用者が半数くらいに

  50代…SNS利用少ない、メール利用

参考:最近の情報事情「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

 https://www.soumu.go.jp/iicp/research/results/media_usage-time.html

 ※情報を届けたいターゲット層が活用しているツール、使用する時間帯に着目し、効果的に情報発信をする!

 

spade各サイトの使い分け

 HP…団体の基本情報 ネット上のパンフレット

 ブログ…団体の活動記録、報告 過去の記録が蓄積&検索可能

 Facebook…個人のネットワークを広げる

 X(旧Twitter)…団体としてのお知らせ情報をいち早く届ける

 Instagram…写真中心、ユーザーの興味関心に合わせた運用 #ハッシュタグによる検索

 Youtube…最近は広報よりノウハウなどのコンテンツ提供

 Line公式アカウント…メルマガ感覚の情報発信

 ※HP,ブログの基本情報にSNSを組み合わせて使うと効果的!

  情報を更新していないと、団体の活動休止していると捉えられてしまいます。マメに更新しましょう!

2023_ver01_3

山田氏の資料より

spade分野×地域で一番詳しい団体

今や、誰もがインターネットであらゆる情報を検索できる時代になりました。

情報に溢れかえった状態であり、情報を検索する人が考えているキーワード、細分化された地域の情報がより求められるようになりました。

NPO法人で情報発信を行う際、活動分野とその活動について地域で一番詳しい団体として、地域での専門性をアピールすることが求められています。

団体のHP上で、地域に求められる情報(例えば障がいのある子どもに関するサービス等)を得ることができれば、情報を探す人がこの団体のHPを再度閲覧する可能性は高く、また確かな情報提供してくれる団体としての信頼度も得ることができるのです。

spade個人保護法について

 ・個人情報…氏名、生年月日、住所、顔写真などにより特定の個人を識別できるもの

 ・個人情報を扱うすすべての事業者が対象になり、個人保護法のルールが定められています。

 ・使う目的をきちんと説明する、勝手に目的以外に使用しない、しっかり保管するのが基本ルールとなっています

 個人情報保護法(政府広報オンライン)

 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201703/1.html

spade感想(アンケートより)

 ・SNSのトレンドとNPOとしての取り組みが知ることができた

 ・それぞれのSNSの特徴やアルゴリズムに応じた投稿内容など勉強になった

 ・年代別のSNSの利用状況が確認出来て良かった。有益な情報が多かった

 ・見てほしい相手にあったSNSとブログが必要であることがわかった

 ・HPの重要な情報が発信できてるか確認の必要があると思った。信頼性を高めるために何をしたら良いかよくわかった

2024年2月 8日 (木)

市民活動支援組織スキルアップ研修「NPO法人実務編」のご案内

茨城県(県民生活環境部 助成活躍県民協働課)主催のセミナーですが、オンライン開催ですので、県外からの参加も可能です。
都道府県によって、多少の相違はありますが、すでにNPO法人の実務を担っている方、これから設立をお考えの方にとって、
役立つ情報が得られると思います。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。

◆ 目 的
NPO法人の設立、運営などに関する実務の相談対応が可能な人材を増やすこと。

◆ 内 容
法務局への登記手続き、法人税の収益事業課税の考え方、法人住民税の減免手続き、労務など、 NPO法人設立認証事務の内容にとどまらず、実際の相談現場で出る質問事例をもとに解説します。 参加者同士の質疑応答、協議も行う対話型とします。

第1回:2月16日(金)13:30~16:00
「法人設立編」
・ 定款などNPO法人設立認証申請時に必要な書類と、その手続き
・ 法人税などの税金の仕組み

第2回:2月20日(火)13:30~16:00
「法人運営・解散編」
・事業報告、定款や事務所、役員の変更手続き、また解散手続きの流れ

◆ 開催方式
会場参加、またはオンライン参加のいずれかを選択できるハイブリッド方式
※ ウェブ会議システム「Zoom」を活用します。

◆ 会 場
茨城県水戸生涯学習センター 中講座室
(水戸市三の丸1丁目5-38茨城県三の丸庁舎3階)

◆ 講 師
認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ
常務理事・事務局長 大野 覚

◆ 対 象
NPO法人所轄庁業務の権限移譲を受けている自治体職員、NPOの支援に興味のある団体(NPO法人等)、市町村の市民活動支援組織(行政直営含む)、社会福祉協議会運営のボランティアセンター、分野別市民活動ネットワーク組織 等

◆ 定 員:会場:40名・オンライン:100名

◆ 参加費:無料

◆ 主 催:茨城県(県民生活環境部 女性活躍・県民協働課)

◆ 運 営:認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ

◆ 締 切:各回開催3日前までにお申し込みください。

◆ お申し込み:下記よりお願いいたします。
専用サイト:https://bit.ly/skillup-npo
※ ご不明な点は、下記「お問合わせ」までご連絡ください。

◆ お問合わせ
認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ
〒310-0031水戸市大工町1-2-3 トモスみとビル 4階
みとしんビジネスセンター C-1
電話:029-300-4321  FAX:029-300-4320
eメール:info@npocommons.org

2024年1月23日 (火)

Saleseforceセミナーを開催しました!

12月14日(木)にSalesforce非営利団体向けパッケージについてのセミナーをZoomで開催しました。

今回のセミナーは、赤い羽根共同募金の助成を受けて実施いたしました。

午前(10時30分~12時)と午後(13時30分~15時)の2部構成で開催しました。

午前の部では12名、午後の部では13名の方がご参加くださいました。

 

7

講師はNPOサポートセンター事務局長、小堀悠氏です。

 

それでは、各内容をご紹介します!

 

clover午前の部(10時30分~12時)clover

・Salesforceの機能紹介

・基本操作

の2つのテーマでした。

 

 

clubまずはじめに… Salesforceとは?

Salesforceを活用すると、非営利団体の抱えている様々な課題を解決することができます。

 

例えば…

セミナー担当者に情報が依存している/情報がバラバラになっている/イベントの告知メールを出すとリストが重複してしまう などなど

 

こんなお悩みを抱えていませんか?

そんなお悩みを解決するために、Salesforceではバラバラになってしまっているデータを1箇所にまとめて、管理・活用することができます。

会員情報やイベントの申込状況、問い合わせの対応履歴などをまとめて管理・活用できます。

またクラウドサービスのため、職場以外の場所からでも同じデータにアクセスすることが可能です。

clubSalesforceの機能紹介 

Photo

上の画像のように、様々なデータを管理することができます。

画像を見ていただくと、団体運営している上で管理しているデータが多いのではないでしょうか。

clubSalesforceの活用内容

寄付・会員管理

イベント管理

業務管理

 ↓

情報共有 分析・レポート

これらを詳しくまとめた内容が、下の画像になります。

2

clubSalesforceの魅力!

寄付プログラム

社会貢献プログラムの一般として、製品の寄贈・割引を行っている。

クラウドならではの利便性

サーバーやIT要因が不要、ソフトは自動アップデートされ、どこからでも同じデータへアクセス可能。

多様なアプリの提供

パートナー企業による様々なアプリの提供。必要な機能を後から追加することもできる。

様々な働き方がある今、クラウド管理で在宅ワークの人も同じデータへアクセスできるのは魅力的ですね。

またSalesforceを利用しているNPOの団体は、国内で約1500団体(国内)だそうです。

様々な働き方や業務の効率化から導入する団体が増えているのかも、しれませんね。

 

club基本操作 

実際に参加者の皆様にも、ご自身のパソコンで操作をしていただきながら進んでいきました。

実際にご自身のパソコンを操作しながら行いました。

 

体験した基本操作は…

データ登録

やり取りの記録

メールの送信

主にこの3点を行いました。

 

やり取りの記録やメールの送信履歴が残るのは、どのスタッフが誰とどんなやり取りを行ったのかが分かるので、とても便利だなと感じました。

clover午後の部(13時30分~15時)clover

・会員寄付管理

・イベント管理

の2つのテーマでした。

 

非営利団体の皆様は、会員情報や寄付の管理またイベント開催にあたり情報の管理などをされているかと思います。

それらの管理をうまく紐づけて行う方法を教わりました。

cloverSalesforceは情報をまとめることができる!clover

今回のSalesforceセミナーを通して、膨大な量のデータをまとめて管理できる魅力に改めて気づくことができました。

特に会費納入や会員管理、イベント運営の管理など、全員で共有したいデータを「ここを見ればわかる!」と共通認識を持てることは団体運営していくうえでも重要だなと思いました。

 

clover参加者の声clover

・便利な機能がたくさんあるので、使いこなせるように頑張っていきたいです。

・実際に操作しながら学べたのが、よかったです。

・様々な情報を登録できるのが、便利だと感じました。

2024年1月 5日 (金)

【セミナー開催報告】助成金獲得のための助成金セミナー

NPOが活動や事業を行うにあたって必要となってくるのが資金です。資金調達には、会費を集める寄付金を募る、行政や民間の財団などから助成を受ける自分たちで稼ぐ(事業収入などの方法があります。

今回のセミナーでは、「助成金獲得」のために「情報発信」がなぜ重要なのか、そして助成金申請事前の準備や募集要項の読み方のコツ、団体それぞれの成長ステージに合わせた助成金の活用方法、現在のトレンドについて、公益財団法人非営利組織評価センター 業務執行理事の山田泰久氏からお話を伺いました。

また、山田さんのお話の前に、群馬NPO協議会より「2024年度助成金 組織の土台がための応援助成金」について、役員の神戸るみさんより、説明がありました。こちらは2023年12月28日に申請を締め切らせていただきました。申請いただきましたみなさま、ありがとうございました。


【助成金獲得のための助成金セミナー開催概要】

  • 日時:2023年12月2日(土) 10時30分~12時30分
  • 場所:群馬県庁昭和庁舎3階 35会議室
  • 講師:山田泰久 氏(非営利組織評価センター 業務執行理事)
  • 参加人数:26名(講師2人、NPO関係13人、個人2人、個人2人、サロンスタッフ6人)

Img_20231202103343441


◆よい団体とは、よい活動とよい情報発信をしている団体
 〜情報発信は、助成金獲得に向けての予行演習!〜

▶なぜ、NPOは情報発信をするのでしょうか。

現在、NPO法人は約50,000団体あり、コンビニエンスストアとほぼ同数。近年は、一般社団法人も約70,000団体で増加しており、歯医者や美容院の数とほぼ同数になります。
これだけの数の団体があるということは、団体自身が積極的に、かつわかりやすい情報発信をしていかないと、埋没していってしまいます。
また、専門的な情報を必要としている人に情報を届け、また自ら発信できない人に代わって情報発信を行う「代弁者」という視点を持つことが重要です。

団体や活動を持続的にしていくために、資源を獲得していく必要があります。
「助成金」は、団体が困っているから申請するのではなく、地域で困っている人のための活動のために、「代弁者」として助成団体に情報を届け、助成金を得ます。一方、助成財団は、地域の人たちに対して直接、活動やサービスを届けることができませんが、資金面でのサポートを通じて財団の想いを託し、団体を支援することができます。

2023__pagestojpg0012

せっかくいい活動・事業をしていたとしても、その情報がわかりにくければ、その団体の活動や事業を必要としている人に、情報が届かない可能性があります。団体やその活動は、外から見るとわかりづらい存在です。

活動の中の「感動」をWebやSNS、動画などで「可視化」すること。またその活動がなぜ必要なのかということを「価値」にして「言語化」することで活動が理解され、共感が生まれます。

活動の中の「感動」を「価値」にして伝えること(=情報発信力)は、助成金獲得にもつながります。

◆NPO/市民活動の資金調達

NPOが活用できる全国規模の助成金・補助金は年間300プログラム以上、地域を含めると350以上のプログラムがあります。

最近の傾向として、活動内容の他に、情報発信力、活動を必要としている人に対するアプローチ方法がちゃんとあるかどうかも審査の重要な項目になっています。

NPOの資金調達は、主に4つの資金源があり、資金調達は「継続性資金」と「単発性資金」の二つに区分されます。この2つの資金は、ゴールが異なっていることが大事なポイントです。

2023__pagestojpg0019

【継続性資金】

受益者数や地域の変化などの成果が目標となるもので、成果を出し続けることにより、継続的な支援が得やすいお金です。自治体等の制度的な補助金や企業や個人の寄付、事業収入などになります。

【単発性資金】

仕組みやハード、モデル事業などの「残るもの」が目標となっています。良い成果を出したとしても、性質上、継続的な支援が得にくいお金であり、民間の助成金や省庁・独法の補助金、クラウドファウンディングなどにあたります。

2023__pagestojpg0020

▶自立と助成金と寄付

助成金を「きっかけ」の資金にして、自立できる形を目指すことが望ましいと考えます。助成金事業での実績を活かし、事業収入化を生み出します。全く実績がない事業計画より、具体的な実績がある方が一般の寄付者にはわかりやすく、寄付で支える仕組み作りにつなげることができます。
また近い将来、助成金がなくなっても事業の継続を前提に、NPOの組織基盤を整備するために助成金を活用することも視野に入れてもいいかもしれません。

2023__pagestojpg0021

(参考)

国や自治体の「補助金」「助成金」に、はっきりとした区分はありません。

「補助金」「助成金」は、行政が政策目標を達成するために、その目標にあった事業に対して、実施のサポートのために給付するものです。

【補助金】公募で審査があり、採択されれば支援が得られる。
【助成金】随時募集で、基準を満たせばもらえる。(例:厚生労働省の雇用関係の助成金)

一方、民間の「助成金」は、辞書にある「助成」の意味の「研究や事業が発展し完成するように援助すること」に近く、行政でいう「補助金」に近いと考えられます。

助成金は、人件費が対象にならない場合があります。また、注意していただきたいのが、補助率です。例えば補助率が30%だと、残りの70%は自団体で賄わなければなりません。助成額より多くの資金が必要となってきます。そうなると、いわゆる「助成金貧乏」になりかねません。自団体の負担もあるということも考えつつ、助成金が終わった後にリターンがくるような仕掛けが必要となってきます。助成金事業をしていくことで疲弊しないように気をつけないといけません。

▶助成金に関する認識の違い

助成金を申請する方は、申請者が継続していくための「活動」の資金を求めています。一方、助成団体は、「事業」のために資金を提供したいと考えます。

助成申請のための事業とは、一定の期間を設けて成果目標(ゴール)を設定して計画するものや、れまでの経験をもとに新しい試みをするもの、また団体や受益者、地域、社会、未来に良い影響を目指すものと捉えるといいかもしれません。

▶︎助成金カレンダー

助成金の情報収集をするためには「助成金カレンダー」の作成がお勧めです。過去1年間の自分たちが活用できそうなものを調べてピックアップします。助成団体名、プログラム名、予算規模、助成金の申請額、対象となる事業、募集締め切りなどをエクセルなどで一覧にします。

助成金は毎年大きく変わることはないので、あらかじめどのような助成プログラムがあるのかをインプットしていると、申請前に慌てずにすみます。

〈参考〉


▶︎助成金の締切が多い月

募集の締め切りが多い月は、5月と11月です。11月は翌年度事業を対象としています。もし採択されなかった場合、5月締切の助成金に再チャレンジできます。「助成金カレンダーを作成・活用することをお勧めします。

▶︎助成申請上限額で一番多い金額帯と採択率

全国規模で、100万円規模を目安として200万〜300万円ぐらい、地域限定だと50万円ぐらいになります。全国規模だと採択率の平均はほぼ3割です。地域限定で言えば6割ぐらいになるようですので、地域限定の方が採択されやすいと思われます。

まずは地域限定の助成金に申請し、採択されることで実績が生まれます。この実績は将来、全国規模の助成金を申請する際の信用情報の一つとなります。

CANPANの助成制度のデータベースには、たくさんの情報が掲載されています。下記のリンク先から見ることができます。

「CANPAN助成金データベース」

 

◆募集要項の読み方

募集要項はわかりづらいですが、時間がある時になるべく多くの募集要項を読むことで、助成団体の特徴がわかるようになってきます。

★自分たちの団体の活動になっているかどうか=「マッチング系」
★募集要項をきっかけに、活動や事業を考える=「インスパイア系」

▶︎対象事業の種類のチェックは大きく2つ

★「活動(対人サービス)」

普段の活動の延長線上として、経験を積んでもらうもの。50万円ぐらいの規模から全国規模になると100万円ぐらい。

★「調査や実証実験(普及振興・パイロットプロジェクト・チャレンジングなもの)。

全国規模だと100〜300万円ぐらいになり、業界の底上げや分野の活性化につながるもの。

▶︎助成金の募集要項は2つの作り方があります。

◎具体的な事業内容を想定「テーマ特化型」
◎ふわっとした内容「フリースタイル」

フリースタイル型については、社会課題が複雑化してきており、決め打ちできないことも多いことから、申請者の創造性に思いを託し、なるべく自由な発想で考えてもらいたいのでふわっとしています。

▶︎「助成実績」も重要な情報

前年度の助成決定のお知らせから、過去に助成を受けた団体や事業を知ることができます。

▶︎審査の視点は3つ

①社会の視点 社会(地域)状況の認識、ニーズ、緊急性、普遍性/独自性
②事業実施の視点 解決手法、即効性、波及効果
③組織の視点 実施体制、実施能力、影響力

本気度の高いものは申請書の項目にも反映されており、説明書きさせるようになっています。申請書の書式を深読みすることも大事です。

募集要項では、助成団体が目指す「世界観」ミッション、ビジョンを読み解くことが重要です。助成団体は、社会が変わるために市民活動を応援します。支援したいと思っている個別事業のイメージは、申請者へのメッセージです。

助成財団の「世界観」を読み解き、自分たちにあっているかどうかを判断して、助成金の申請に繋げていただきたいと思います。


◆参加者からの質問

Q:任意団体から活動を始めているが、助成金申請以前に着手している事業は、助成金の対象となりますか?

A:助成金は、採択が決まってからお金が出るもので制約がある。決まってから事業を始める方がいい。

Q:立ち上げたばかりの団体を支援する助成団体は?

A:全国規模は、ほとんどない。団体立ち上げ当初は地域限定からスタートする方が実績を積める。

Q:数多くある助成財団、行政、自治体などの棲み分けは?

A:全国的なものは、新しい先駆的なもの、コミュニティ財団に代表される地域限定のものは、地域の中で支援して育てるというふうにシフトしている傾向がみられる。


セミナー終了後のアンケートからは、以下のような以下のような回答をいただきました、

「助成金の概要が理解できた。まだ申請していないので一度申請してみたい。」
「助成金カレンダーの作成、助成団体の視点・考え方がとても参考になりました。」
 
講師の山田さんのお話にもありましたが、助成金の締め切りが多いのは、5月と11月とのことです。それぞれの団体の中で自分たちの活動を「可視化」、「言語化」して情報を整理し、助成金の申請にチャレンジしていただけたらと思います。
 

《セミナーのご案内》

助成金セミナーに続き、「NPOが信頼と共感を得るための"情報発信"セミナー」開催いたします。講師は、助成金セミナーでもお話いただいた、山田泰久さんです。
情報発信は、助成金獲得に向けての予行演習です!
Facebook、X(旧Twitter)、Instagram、Youtube…。様々なSNSがある今、ターゲットと目的を明確にして効果的な情報発信を行うため、自分たちの団体にあったSNSの活用の仕方を学び、助成金の獲得にもつなげていきましょう。
  • 講師:山田泰久氏(公益財団法人非営利組織評価センター業務執行理事)
  • 日時:2024年1月27日(土)10:00~12:00
  • 場所:県庁昭和庁舎3F 35会議室(前橋市大手町1-1-1)
  • 対象:NPO法人、任意団体、中間支援センター
  • 定員:25人(先着順)
  • 申込み:申込フォームよりお申込みください。
  • 申込締切:1月19日(金)
みなさまのご参加をお待ちしております。

_page0001