
JR東日本高崎支社は、昭和村および利根沼田農業協同組合(JA利根沼田)と連携し、地域課題の解決に向けた「援農プログラム」を展開しています。社員の副業制度に加え、物流や旅行商品などJR東日本グループの多様なアセットを組み合わせることで、地域農業の支援と沿線価値の向上を目指す取り組みです。今回は、本プログラムの企画に携わり、自ら現地で体験したJR東日本高崎支社の社員に話を聞きました。

背景と地域の課題
群馬県北部に位置する昭和村は、レタスやほうれん草、とうもろこしなど多彩な農産物を首都圏へ供給しており、こんにゃく芋の生産量日本一を誇る「やさい王国」として知られています。
一方で、農繁期には多くの労働力を必要とするため、外国人実習生の受け入れや人材派遣会社、知人のネットワークなどを活用して人材を確保しています。しかし、安定的な人材の確保は依然として大難しい状況です。
JR東日本高崎支社「Aiプロジェクト」の挑戦
JR東日本高崎支社では、若手社員を中心とした組織横断型チーム「Aiプロジェクト」を立ち上げ、沿線地域が抱える課題の解決に取り組んでいます。
第1弾として、2025年11月20日に農業研修を実施し、社員約20人が1日農業バイトアプリ「daywork」の法人機能を活用して、こんにゃく芋の収穫作業に参加しました。研修後にはワークショップも開催し、昭和村の農業が抱える現状や課題について、多角的な視点から意見を交わしました。
参加した運転士の小林真理恵さんは、
「通常の業務や職場環境を離れ、広大な畑で作業する体験はとても気持ちがよかったです。作業の合間に、畑でみんなで食べたおやつもおいしく、普段とは異なる環境の中で心に残る時間となりました」
と振り返ります。農家の方々との交流を通じて視野が広がったという声も聞かれ、農作業体験が心身のリフレッシュや健康意識の向上につながる可能性を感じました。こうした実感は、副業制度を活用した農業支援の意義を考えるうえでも示唆に富むものとなりました。

プログラム始動の経緯と拡大計画
本プログラムは、「Aiプロジェクト」のアドバイザーである兵藤俊吾副長が、実家がこんにゃく芋農家であったことをきっかけに、地域農業の課題解決に貢献したいという思いを持ち、Aiプロジェクトのメンバーと共に昭和村役場やJA利根沼田に働きかけたことから始まりました。
第2弾は2026年3月26日に、農園「星ノ環」において、いちごの葉やつるの剪定などの農作業を実施しました。参加対象は首都圏勤務の社員にも拡大し、副業として農業支援に関わる仕組みの検証を進めます。さらに、2026年夏には第3弾として一般の方々にも対象を広げ、夏野菜の収穫体験と地域観光を組み合わせた旅行商品の造成も視野に入れています。こうした段階的な拡大を通じて、地域との信頼関係を深めながら、参加者層や活動地域の広がりを目指します。
複合的な取り組みで地域の魅力を創出
援農プログラムは、単なる人材確保にとどまらず、各団体が持つアセットを活用しながら、地域農産物のブランディングや販路拡大にもつなげていく取り組みです。
具体的には、新鮮な農産物をJR東日本の荷物輸送サービス「はこビュン」で首都圏へ届け、駅ナカやマルシェで販売することで、群馬県産農産物の認知向上と販路拡大を図ることが想定されています。また、農作業体験付き旅行商品の造成により、参加者が農業に触れながら地域の魅力を体感できる機会を創出するほか、首都圏での臨時販売、オンライン販売、マルシェ開催など、多面的な販促施策も検討されています。今後は、継続的な対話を通じて、副業やボランティアなど多様な形で関われる仕組みづくりも進めていく考えです。

おわりに
JR東日本が沿線地域の課題解決に主体的に関わることは、地域農業を支えるだけでなく、新たな価値の創出にもつながります。副業制度を活用した人材支援に加え、物流、旅行商品、EC、イベントなどを組み合わせることで、昭和村の農業の魅力をより広く発信し、関係人口の創出や地域ブランドの向上にも寄与することが見込まれます。
本プログラムが、地域と都市を結ぶ持続可能な共創モデルとして、今後さらに発展していくことが期待されます。今後もJR東日本高崎支社の『援農プログラム』に注目していきたいと思います。

参考 群馬県昭和村・JA 利根沼田と連携した「援農プログラム」を展開
https://www.jreast.co.jp/press/2025/takasaki/20251218_ta01.pdf
高校生や大学生が中心となって地域活動に取り組む、NPO法人アスワード。
子ども支援からまちづくり、まちおこしへと広がる若者の活動と、行政や地域、企業との協働の現場を取材しました。
伊勢崎市を拠点に活動するNPO法人アスワードは、高校生や大学生を中心とした若者主体の団体です。2024年4月にNPO法人としてスタートし、子ども食堂や学習支援、居場所づくりなどを通して地域の子どもたちを支える活動を続けてきました。現在は、そうした取り組みに加え、「まちおこし」の分野にも活動の幅を広げています。
活動を支えるメンバーは48名。高校生23名、大学生17名、社会人8名という構成で、若い世代が中心となって企画や運営を担っています。
最近では、子ども食堂や居場所に参加していた中学生が、高校生になると「ボランティアしたい」という希望もあるそうです。また、高校生の保護者からも「子どもをボランティア活動に参加させたい」という相談も寄せられるようになりました。若者の活動が地域の中で少しずつ信頼を得ながら広がっていることが伝わってきます。
⇩子ども食堂(ヒカリエキッチン)の様子⇩![]()
(https://nposalon.kazelog.jp/npo/2025/08/npo-c886.html)
2月8日(日)に開催された「スイーツ&古着フェス」は、伊勢崎市の協働まちづくり事業の一環としてアスワードが主催したイベントです。
会場変更や雪の影響もありましたが、中学生や高校生、親子連れなど多世代が来場し、会場は大いににぎわいました。
そんな思いから始まった企画ですが、結果として地域の新しい交流の場となっていました。学生たちは企画から準備、当日の運営まで主体的に取り組んでいます。地域の人と関わりながらイベントをつくりあげていく経験は、学校や大学の学びだけでは得られない貴重な実践の場となっているようです。




スイーツ&古着フェス(2026年2月8日 伊勢崎市絣の郷)
雪が残る中、スイーツ屋9店と古着屋6店が出店。約1000人の来場者がありました。
今回お話を伺ったのは、境町駅のすぐ近くにある境赤レンガ倉庫です。
この周辺には歴史ある街並みが残る一方、高齢化が進み、外国にルーツを持つ住民も多く暮らしています。イスラム教の礼拝の場である伊勢崎モスクもあり、小学校ではクラスの約3分の1が外国ルーツの子どもだといいます。
こうした地域の中で、アスワードはモスク関係者とも関係を築きながらまちづくりの活動を進めています。

伊勢崎市境公民館で年4回「多文化交流会」を開催。
小中学生を対象とした多文化共生の取り組みです。
2025年5月30日の「ゴミゼロの日」には、歴史的建造物を巡りながらゴミ拾いを行う「境まちなか歴史探索クリーニング作戦」を実施しました。モスク関係者の方々と一緒にまちを歩きながら清掃活動を行うことで、地域の中に顔の見える関係が少しずつ生まれているようです。
また、田島弥平旧宅世界遺産フェスタにも実行委員として参加しており、若者の視点を活かした地域の魅力発信も広がっています。代表の山本さんをはじめ、メンバーの中には境町出身者もいます。地元への思いと若者の行動力が重なり、地域とのつながりをより深めているように感じました。

70人以上の参加があった境まちなか歴史探索クリーニング作戦。
外国につながりのある人たちも楽しみながら参加していました。
アスワードの活動は、行政や企業との協働によって少しずつ広がっています。伊勢崎市役所でいうと市民活動課や商工労働課など、複数の部署と連携しながら事業を進めています。
先に紹介した「スイーツ&古着フェス」も、チラシ広報や当日の会場変更、駐車場対応、伊勢崎市PRキャラクター「くわまる」の借用など、官民連携での取り組みの一つとなっています。
また企業などから寄付された食材は子ども食堂で活用され、地域の中で子どもを支える循環が生まれています。
異なる主体との協働には、価値観や進め方の違いなど難しさもあります。それでも対話を重ねながら関係を築き、活動を広げてきました。
代表の山本さんはこう話します。
「若い自分たちが動くことで、行政や地域の動きにも変化が生まれていると感じています。」
その言葉には、これまでの取り組みの手応えが感じられます。

境赤レンガ倉庫にて、長野県東御市からの視察の皆さんを前にアスワードの活動内容やまちづくりについてプレゼンする、山本代表とアスワードメンバーの眞下さん
若者が地域と出会い、地域が若者と出会う。
その関係が重なり合うことで、新しい地域のかたちが少しずつ生まれています。
子どもたちの居場所づくりから始まった活動は、いまや地域イベントやまちづくりへと広がり、行政や企業、地域団体など多くの主体との協働へとつながっています。
また、伊勢崎市の市民活動課では、令和7年10月から月に一度、若者交流会を開催しており、アスワードのメンバーも積極的に参加しています。このような場を設けることで、ちょっとした雑談から新しい動きが生まれることもあります。若者たちが主体的に地域に関わることで、伊勢崎のまちが変わろうとしています。
NPO法人アスワードの取り組みは、世代や立場を越えて協働することの可能性を示しています。若者たちの行動が、これからの地域づくりに新しい可能性を広げていくことが期待されます。

伊勢崎市市民活動課では、R7年10月より月に1度、若者交流会を開催。
3月は、市内のカフェで臂市長と意見交換を行いました。
NPO法人アスワード
ホームページ <https://asuwardo-isesaki.org/>
(代 表)山本祥一
(所在地)群馬県伊勢崎市連取町3333番地6ライトフェイス内
(法人概要)2024年4月にNPO法人化。高校生・大学生を中心に構成された若者主体の団体。子ども食堂、学習支援、居場所づくりなどの子ども支援事業のほか、地域イベントの企画やまちづくり活動を行う。メンバー48名(高校生23名、大学生17名、社会人8名)。
協働の内容
相利協創方式に基づく協働コーディネートの実践第一弾として磯部温泉街の活性化を目的に継続的に協議や学習会を実施しました。磯部地域の現状課題を共有した上で、多主体連携(若者・外部人材の参画)や関係人口の増やし方、相利の求め方、地域資源の再発見、地元民・事業者・行政との連携について意見交換と検討を重ね、地域の魅力向上と持続可能なまちづくりに向けたチームづくりの基礎を作りました。
※相利協創方式とは
NPO活動や地域活性化、企業間連携において、関係する全員が互いの強みを活かし合い、協力して新しい価値や利益を創り出す手法・マネジメントモデル

学習会の様子 左手前:松原 明 氏
協働の背景
磯部温泉街を中心に人口減少・空き家問題・高齢化・観光資源の生かし方といった地域課題がありました。地域住民や商店街の人々など当事者にとってこうした課題を解決し、地域を活性化したいという思いがありました。地域への愛着と地域活性化への情熱から、このプロジェクトがはじまりました。
2023年、24年に前橋市で松原 明 氏による協働コーディネートを学ぶセミナーが開催されました。プロジェクト担当者がこのセミナーに出席したことがきっかけとなり、セミナーで学んだ相利協創方式を、地域で実践してみたいという思いが生まれ実現に至りました。
実施主体
磯部温泉組合
プロジェクト担当者:櫻井太作(ホテル磯部ガーデン社長)/高野領翼(高野酒店/TARTANS CAKE STAND)
(所在地)群馬県安中市磯部
(団体概要)昭和25年に発足し、磯部温泉の観光振興のために活動。大花火大会も会発足と同じ年に初めて開催され、現在も続く大イベント。活気あふれる磯部温泉を目指し活動中。
NPO法人協力アカデミー
ホームページ:https://lw.kyouryoku.org
代表:松原 明
(所在地)〒154-0023東京都世田谷区若林4丁目25番14号コーナー松陰2F
(団体概要)2023年設立。この法人は、協力しあうことがますます困難になっていっている現代社会において、人々が協力し合う能力を向上させていくことにより、より良い自身の未来を切り拓いていけるように、有効な技術(テクノロジー)を研究し、学びあい、技能(スキル)を強化する機会を提供し、協力の技術の使い手を増やすことで、一人ひとりの幸福の追求と社会全体の発展に貢献することを目的とする。多様な人々と協力を生みだし拡げるスキルが学べる、日本唯一の協力に関する専門オンライン・スクール 「協力アカデミー」を運営。
群馬NPO協議会
ホームページ:https://www.gunmanpo.org
プロジェクト担当者:渡邊恵理/太田琢雄
(所在地) 群馬県前橋市大手町1-1-1 県庁昭和庁舎1階
(団体概要)1999年(平成11年)に県内NPO融資により設立。会員が主体となって情報交換を行い、NPOの健全な発展を図り、社会全体の利益の増進に寄与することを目的とする。また、市民活動に積極的に参加し社会を主体的に創造しようとする市民を支えネットワークを築き、その専門性向上と社会的認知を進め、専門職としての確立を図る。
協働における役割
・磯部温泉組合
相利協創への理解と共感。課題の共有/現状把握/関係者の洗い出し&関係者相利の想像と把握。事業の提案と実践。場所の提供。
・NPO法人協力アカデミー
『協力しあうことがますます困難になっていっている現代社会において、人々が協力し合う能力を向上させていくことにより、より良い未来を切り拓くこと』を目的に、有効な協力の技術として<相利協創方式>を提唱。磯部温泉街では、温泉街の主要メンバーに向けて
多主体連携の意義・価値・成功例を共有/協力方法(相利協創)の共有と指導/関係人口の増やし方や相利の求め方/アンケート調査の重要性と方法などを指導。地域資源の再発見サポート/事業案への具体的なアドバイスまで。
・群馬NPO協議会
多主体連携サポート対象地域の選出/主要メンバーの確認と同意/上記関係者の引き合わせ。相利関係の確認と徹底。相談や学習機会の調整・設定/今後のサポートに向けた自主的な学びや関係・体制作り。(協働コーディネートの実践)
協働したことの相乗効果
・地域づくりの主要メンバーが多主体連携の方法や成功例を知り、その意義を知ることができた。
・関係人口の増やし方、その意義を再確認した。
・多主体の協力方法(相利協創方式)を知り、それに基づく街づくりを考えた。
・地域資源を再発見した。
鉱泉を使った商品開発の可能性
温泉マーク発祥の地としてのポテンシャルの深掘り
空き家対策や利用の相談
・ホテル磯部ガーデンにて、相利協創方式のセミナーを4回開催した。


セミナー「協力のコツを実践で学ぼう」
2025年10月20日(月)、11月27日(木)、1月19日(月)、2月25日(水)、市民活動団体及び中間支援センタースタッフを対象に開催
・既存イベントのブラッシュアップに繋がった。
2月22日「温泉マーク発祥まつり」で空き家使用や温泉豆腐屋台を実践。(小さく試して検討改善)→アンケート調査の実施
3月28日安中市合併20周年記念フェスDOMMANNAKAのお疲れ会を磯部温泉「ホテル桜や」で開催。フェス打ち上げの視点で、会場から磯部温泉街への導線を作り、関係人口増に繋げた。
・次年度の街づくりに向けた多主体連携計画の土台を作った。
協働の内容
2023年10月から、群馬中央医療生活協同組合が運営している前橋地域の医科歯科診療所と永井運輸株式会社の協働で運営している通院支援事業です。
協働の背景
定期通院を必要としている患者さんの通院困難感さから、受診の中断に繋がるケースがあります。通院補助事業を独自で実施することは、一度に支援できる人数、そのサービスを安定的に継続して提供していくための人や費用の課題を大きく伴います。そこで、これまで自法人が通院支援の車両を走行させていた経路をほぼ網羅するコミュニティバスを運行している永井運輸株式会社様へご相談をさせていただき、今回の協働に結びつきました。事業利用(通院・お見舞い・介護事業利用)でバスを利用して通院してきた方には、群馬中央医療生協が発行しているバスチケットを活用して利用者負担なくバスに乗車していただいています。後日、乗車チケットの実績に合わせ、永井運輸株式会社様へ乗車料金をお支払いしております。

バリアフリー講習会の様子
実施主体
群馬中央医療生活協同組合
(ホームページ) https://www.kyouritsu.org/index.html
(理事長)半澤 正
(所在地)前橋市朝倉町830-1
(法人概要)群馬県全域を定款地域とする、医療介護を事業とする生活協同組合です。主に中毛地区(前橋市・伊勢崎市)や東毛地区(桐生市・太田市・邑楽立林地域)を中心に活動しています。医療介護の専門職と地域の組合員とが協力し、健康にくらし続けられる地域づくりを進めています。
永井運輸株式会社
(ホームページ) https://www.nagai-unyu.net/
(代表者)代表取締役会長 永井 豊
取締役社長 穴沢 修
(所在地)前橋市南町三丁目21番地の8
(法人概要)昭和30年に創立以来、トラック輸送を主体に物流の担い手として地域産業の発展と共に着実に歩んでまいりました。時代の要請に伴いタクシー事業、観光バス事業、倉庫事業、乗合バス事業福祉バスの業務を行っております。
協働における役割
群馬中央医療生活協同組合
・事業利用者への通院の際の乗車チケットの配布案内
・利用実態に応じた乗車料金のバス事業者への支払い
・医療専門職や事業利用者の有志によるバス会社へのバリアフリー講習会
永井運輸株式会社
・バスチケットを受け取っての路線内での通院患者の移送サービスの実施
協働したことの相乗効果
・医療機関に定期通院する高齢の患者さんの通院手段の確保
・人員不足や費用を抑えた安定した通院支援手段の提供
・公共交通事業の利用者増への効果
・公共交通機関の利用のきっかけや安心して利用できる環境の提供
2026年1月29日(木)13時30分から16時30分、県庁32階NETSUGENにて協働ミーティング「薪づくりで街づくり、そして人づくり。」を開催いたしました。

群馬NPO協議会 櫻井弥生 会長による開会挨拶
会場とオンライン参加でのハイブリッド開催で、NPO等18名、行政14名、企業8名、教育機関等3名、個人4名 計44名の方が参加されました。
群馬県ではNPO、企業、学校、行政など多様な主体による協働を推進しています。

左:福本 昌彦 氏 右:石戸 悦史 氏


後半:パネルディスカッション
MAKITの協働に関わっている方にご登壇頂き、協働の役割や詳細なエピソードについてフリートークでお話し頂きました。
ファシリテーターは特定非営利活動法人中之条コネクト理事/事務局を務める枝 拓未 氏です。
中之条町の地域おこし協力隊として着任後、地域の人々とともに中之条コネクトを設立、現在は事務局として農家の担い手づくりや地域の人材育成を行って活動中です。
枝 拓未 氏

左2人目:伊藤 友樹 氏 右:持田 知泰 氏
実際に協働に携わった官民それぞれの立場から、協働のきっかけや役割について、フリートークでお話頂きました。うまくいったこと、いかなかったこと、異分野ゆえに分からなくて苦労したこと等が話題になりました。
登壇者紹介
みどり市産業観光部農林課林政係 主任 持田知泰 氏
みどり市農林課で林政業務を担当。市内林業従事者への支援事業や市産材の流通、森林経営管理事業等に携わっています。木の駅プロジェクトでは運営全般に係る事務、補助金等の手続き、重機等の備品整備などを担当。林野庁へ出向経験あり。
林業家 伊藤 友樹 氏
2021年にみどり市地域おこし協力隊に着任。林業振興に携わる中で、森林資源の六次産業化を推進し、エッセンシャルオイルブランド「森の香。foreal(もりのか。ふぉれある)」を立ち上げる。商品の販売のほか、工房での体験ツアーなどを通じて、森と人をつなぐ活動を展開。現在は林業フリーランスとして活動し、林福連携事業の「木の駅プロジェクト」にも技術者として参画するなど、地域資源の活用に力を注いでいる。
協働のきっかけ
障害者の方の木工アート製作のため、木材の無償提供を林業家の方にお願いしたことがきっかけで、みどり市の地域内エコシステムに参加しないかと声がかかる
福祉系の同業種では以外と連携は進まず、林業と福祉の林福連携という異分野同士の新たな試みが始まりました。異なるセクターのつなぎ役という連絡係がいた訳ではなく、それぞれが専門分野での業務を全うすることで自然に歯車が回ったような感じで事業が進んだようです。
とはいえキーパーソンとなった人物がいるようです。
みどり市では林野庁職員と人事交流があり、前担当職員が地域の未来と障害者理解を含めた事業計画を推進してくれたそうです。
お互いを全く知らない、異業種、異分野同士での協働が進んだコツとは?
・会議の積み重ねで、お互いの考えを知る、理解を深める
・現場へなるべく足を運ぶようにする
・つくりたい地域、目標などのそれぞれの思いを共有する
・うまくいかない時は、お互いの目標がずれている
信頼関係の根源は?
・約束をどう守るかの積み重ね
・報告、連絡、相談と情報共有
・協力者それぞれに取れ高があること(金銭的以外にも周囲からの応援、協力や笑顔など)
・潤う人が増えることが事業が長続きする秘訣
協働で大変だったこと
・最初は林業関係の専門用語が全く分からなかった
・当初は福祉の分野外の方に、障害者への合理的配慮、差別解消といった概念が理解されにくかった
・夏場の猛暑時に薪の生産量が低下、季節による生産量の波を作る必要がある
・事業開始の頃に、行政の担当職員が異動になっていしまい、関係性を再構築する必要がある
協働をするために大切なこと
・思いや物語をつなぐ、自分たちの物語を明確にする→共感や共鳴を得ることにつながる
・ご縁を大切にする
・異業種のコラボはすべての業界から注目される、道を切り開いていくチャレンジ精神
参加者からの質問
・協働において、行政などトップの意向や役割をどのように感じるか?
→みどり市総合計画、5つのゼロ宣言もあり、木材の地産地消は市長にとって関心の高い分野でもある。また森林協力隊は全員市に定住している。
・なぜ同業界のコラボは難しいのか?
→同じ規模の中小企業のような感じでライバル意識もあり協力よりは競合してしまう。成果が出にくい。
・協働における人材育成はどのようにしていますか?
→組織として明確なビジョンを持ちスタッフに浸透させるのが大切。ビジョンという土台があって、研修などの技術(スキル)がある。
・協働の原動力は何ですか?
→事業を継続していくこと、成功体験の積み重ねと感謝の気持ち。自分達が学び続けること。早く成果が見たいという気持ちで今やっていることを止めないこと。
おわりに
NPO・ボランティアサロンぐんまでは過去に協働事例発表会を開催しましたが、MAKITのような協働事例の関係者複数にご登壇頂いたのは今回が初めてでした。
参加者の方にとっても、官民の役割、異業種それぞれの視点などを知る機会となってのではないでしょうか。
MAKITは他業種交流の林福連携プロジェクトですが、関係者にとってみどり市の未来を良くしたいという思いは一致していたのではないかと思います。林業、環境問題、障害者、子どもといった観点から、地域の人々が未来もいきいきと暮らしていくにはどうしたらよいか?そのように考えた時この計画は生まれました。
官民の立場の相違を乗り越えるために、行政側が現場に足を運ぶ回数を増やしたり、お互いを理解しよう、歩み寄ろうという気持ちと努力が相互にあったと思います。林業と福祉を組み合わせることで、複数の地域課題に同時に働きかける大きな循環が生まれました。
前例のないことを始めるのは大きな挑戦ですが、登壇者の方々のトークを実際に聞いて、地域の未来にかける情熱と意欲を感じました。そして何より前向きな姿勢と明るさがありました。何度も話し合いを重ねることで形成された信頼関係が、協働の基盤となっていると感じました。
参考
MAKITについて https://www.chihayakai.jp/forestwood
森の香。foreal https://www.foreal.jp/
チハヤ会訪問記録 https://nposalon.kazelog.jp/npo/2025/12/makit-4a00.html
はじめに チハヤ会について
社会福祉法人チハヤ会は、みどり市で主に障害のある方を支援するさまざまな施設を運営しています。
2022年4月には子どもの第三の居場所として「おむすび堂」を開設し、アートコラボなど特色ある取り組みが注目されています。
さらに2025年4月には、就労継続支援B型事業所「MAKIT」を開設。
この事業所は、みどり市との「林福連携(林業×福祉)」による、全国的にも珍しい取り組みを進めています。
今回、おむすび堂にて「MAKIT」について管理者の福本さんにお話をうかがいました。
おむすび堂に通う子どもたちの作品
「MAKIT」と「木の駅プロジェクト」
全国でも珍しい林福連携の取り組みは、2020年頃、チハヤ会の障害者支援施設で木工アートに挑戦する際、わたらせ森林組合に「廃材を分けてもらえないか」と相談したことが始まりだといいます。
これをきっかけに、みどり市農林課、森林組合、林業家との連携が深まり、里山整備にも関わる中で、「木の駅プロジェクト」として構想が形づくられていきました。
みどり市は面積の8割を森林が占め林業が盛んである一方、担い手不足や流通の都合により木材が県外に流出してしまうという課題を抱えていました。
一方チハヤ会は、おむすび堂の運営を持続させるための自立の方法を模索していました。
こうした状況を背景に、みどり市が林業の課題解決に向け「木の駅」を設置。その運営をチハヤ会の就労支援事業所「MAKIT」が担うことになりました。
具体的な業務としては、市内で伐採された木材を「木の駅」で薪に加工し、翌年オープン予定の温浴施設へ納めることです。
薪は温浴施設だけでなく一般向けにも販売され、その収益の一部はおむすび堂の運営に活用されます。

しくみが生む相乗効果
このしくみによって、みどり市は林業の課題を解決しつつ「地域内エコシステム」を実現。
チハヤ会としては、障害のあるメンバーさんに新たな仕事と安定した供給先を確保でき、その収益が子どもたちを支えるおむすび堂の運営にもつながるという相乗効果が生まれています。
また、メンバーさんが地域の子どもたちを支援するということは、障害のある方が「支援される側」だけでなく「支援する側」にもなるということ。
地域全体で子どもの育ちを支える一員となるという点で、大きな意味があるといいます。

実際に、令和2025年4月より、みどり市が設置した「木の駅」の運営をチハヤ会が受託し、木の駅での薪づくりが「MAKIT」の仕事の一つになりました。
来年4月オープン予定の温浴施設「湯〜トピア みどモスパ」(旧・かたくりの湯)に向け、薪づくりは着々と進行中。
乾燥中の薪が山積みになっており、リニューアルした温泉施設で「MAKIT」の薪が活躍するのが楽しみです。
「木の駅」で乾燥中の薪(まき)
「MAKIT」のこれから
「木の駅」での薪づくりに加え、おむすび堂でのカフェ事業、デザイナーと協働するアート事業という「3本柱」を中心に事業展開していく予定です。
メンバーさんが輝き、自信を持って働けることは、職員の誇りにもつながります。
さらに今後は、みどり市の害獣問題の解決策として、シカカレーや鹿革の活用なども構想しています。
おむすび堂の前で(福本さんとメンバーさんたち)
おわりに
チハヤ会は、もともと戦争で親を失った子どもたちを受け入れる「チハヤ養護園」として始まりました。その後、社会の変化に合わせて、グループホームや放課後デイサービスなど、支援の幅を広げてきました。
2022年にはおむすび堂がオープンし、地域みんなで運営を支える仕組み「おむすびワークス」や、林業と福祉をつなぐ「MAKIT」など、新しい活動も次々と生まれています。
時代や地域のニーズに合わせ、さまざまな人や機関と協力しながら柔軟に挑戦し続ける姿勢から、多くのことを学べると感じました
----------------------------------------------------------------------------------------
来月1月、今回お話をうかがった福本さんをメインスピーカーとしてお招きし、
林福連携の取り組みをテーマとした「協働ミーティング」を開催します。
「MAKIT」について様々な関係者からさらに深くお話を聞ける貴重な機会となっています。
みなさまの参加をお待ちしています!
-----------------------------------------------------------------------------------------
【予告】
テーマ対応型協働ミーティング
「薪づくりで 街づくり そして人づくり」
2026年1月29日㈭ 13:30~16:00
会場:NETSUGEN(群馬県庁32階)/オンラインzoom
詳細、参加申込みはこちら
→https://app.jibun-apps.jp/form/7998dee8-0500-4dcb-97f0-f439dbf21774/new


ご参加申込
以下フォームから、会場参加/オンライン参加を選択の上お申込みください。
https://app.jibun-apps.jp/form/7998dee8-0500-4dcb-97f0-f439dbf21774/new
NPO法人マチイロの代表理事、荒井良明さんが営む株式会社森の香の店舗を訪れ、2024年3月31日に開催された「シキシマエキマエピクニック2024」のイベントについてお話を伺いました。
2024年3月31日、群馬県渋川市にあるJR敷島駅が開業100周年を迎え、この節目として「シキシマエキマエピクニック2024」が開催されました。
NPO法人マチイロが関係団体と協働しながら進めた、まちづくりの取り組みの一つです。当日は、敷島駅前が歩行者天国となり、子ども向けの縁日、キッチンカーや屋台が並ぶなか、ダンスなどの各種ステージパフォーマンスが行わるなど、盛大なイベントとなり来場者は3000人を越えました。
同じ日にJR沼田駅でも同様に100周年記念関連イベントが行われ、鉄道を軸に地域間がつながるイベントとなったのではないかと思います。




「シキシマエキマエピクニック」は、2022年に敷島駅開業98周年を記念して初めて開催されました。その際、地域の人々が自発的に動き、敷島駅周辺の活性化を目指す実行委員会を立ち上げました。
この形式は、さまざまな立場の人が得意分野を活かしながら役割を担えるため、スムーズな運営につながっているそうです。
例えばイベント開催時には、電気技師や建設業に携わる人が設備面を担当し、地域事業者が飲食ブースを運営するなど、それぞれのスキルを活かすことで、一人ひとりが存分に力を発揮し、地域に役立てることを実感を持てるそうです。
「シキシマエキマエピクニック2024」では、多くの団体が連携し準備から当日の運営まで行いました。無人駅である敷島駅での大規模なイベント開催には、地域住民だけでなく、多方面の協力が不可欠です。
渋川市や渋川市社会福祉協議会も、地域コミュニティの活性化という観点からも積極的に関わったほか、JR東日本も上越線敷島駅、岩本駅、沼田駅の開業100周年記念イベントを開催するにあたり、「シキシマエキマエピクニック」の取り組みに興味を持ち、同時開催を決定。
「SL敷島・沼田百周年」を運行するなど、鉄道を活用した地域活性化の一環として協力。無人駅である敷島駅にはふだん蒸気機関車の停車しませんが、停車の実現に至ったとのことです。

イベント当日、この記事を書いている私も汽笛を鳴らす蒸気機関車を敷島駅近くで見て歓声を上げていた一人ですが、「シキシマエキマエピクニック」という魅力的なイベントこそが、「蒸気機関車の停車」までも引き寄せたのだと感じました。マチイロの荒井さんが、とても嬉しそうに「敷島駅に蒸気機関車が止まったんですよ!」と話していたのも納得でした。

マチイロ設立のきっかけは、地域おこし協力隊の課題から生まれました。コロナ禍により協力隊の活躍の場が限られてしまい、地域とつながる機会があまりないまま任期を終えてしまうケースが増えていたそうです。
そんな中、過疎化が進む敷島駅前の商店街の歴史を紐解きながら、地域とのつながりを深めるワークショップを開催。かつての商店街の地図を復刻し、完成した地図を披露する場として、敷島駅98周年を記念した「シキシマエキマエピクニック」が初めて開催。地域の歴史や文化を共有する場となりました。

翌2023年には、敷島駅99周年記念イベント「シキシマエキマエピクニック2023」として、駅前の道路を歩行者天国に。
敷島駅開業100周年記念イベントと同時開催となった「シキシマエキマエピクニック2024」では、地域住民だけではなく、市外からも多くの人や鉄道ファンが訪れる一大イベントとなりました。
「シキシマエキマエピクニック」は、敷島駅100周年記念イベントを一つの区切りとするそうです。地域の多様な人々が持つ力を発揮することで地域活性化につながることを、3年にわたるイベントを通じて実感できたといいます。
今後は、マチイロの活動目的である「まちづくり活動を通して、市民がより暮らしやすくなる街をつくり、市外の人が移住・定住したくなる魅力を創り、発信すること」を軸に、2040年に5,000世帯の定住を目指すという重要なミッションに向け、以下の活動をさらに推進していくそうです。
これからも地域に根ざした活動を通して、地域の多様な人々や企業、行政などとつながりながら、誰もが暮らしやすくて、住み続けたくなる、いろどり鮮やかな街となっていくのではと思います。

駅のえんがわについては、ブログ記事でも紹介しています。
===============================
◆NPO法人マチイロ 法人概要
所在地 渋川市赤城町敷島701
代表理事 荒井良明
https://www.machiiro.or.jp
前橋市川原町にあるJINSPARKを訪問しました。

JINSPARKは創業の地前橋で、商品販売だけでなく、地域コミュニティのハブとなることを目指して2021年にオープンしました。
買い物に来た親子が立ち寄り、ゆっくり過ごせるような場所。
地域の人々が気軽に集まり、イベントを開催できるような場所。
イベントを通して、アーティストと参加者が交流できるような場所。
高い天井と、日差しの差し込む明るく開放的な空間は、訪れる人をリラックスさせます。
また階段状になったベンチは映画の上映会に活用されることもあるそうです。
ガラスにはアーティスト いくらまりえさんの作品が描かれている
群馬や前橋にゆかりのあるアーティストを講師に招いたアートワークショップも定期開催する
※2024.9.29~2026,1.29の期間限定での展示
カフェスペースもあり、店内では焼き立ての美味しいパンと飲み物を頂くことができます。
JINSPARKではスペース利用の一般公募をトライヤルしており、敷地内でのマルシェ、ワークショップ開催、作品展示、イベントなどを実施することができます。
人気があるので、募集開始してすぐに日程が埋まってしまうそうです。
こうした取り組みについて、「企業が行う公共」ということで地域共生事業部の白石さん、石井さんからお話を伺いました。
地域の人々が集う場をつくることで生まれる交流や、人々に楽しい時間を提供できることが地域活性化につながります。
こうした地域活性化の取り組みは、営業している地域への恩返しという思いもあるようです。
NPO法人Mam’s Styleとの協働例 子ども服、絵本のリサイクルBOXと販売を行っている
その他の社会貢献活動
・JINS norma 障がい者と健常者が互いに特別に区別されることなく共に生活することができる社会を目指し、農業やコーヒー豆の選別作業などを行っている。障がい者の就労支援と農業の担い手不足の解消
https://jinsholdings.com/jp/ja/group/jinsnorma/
・JINS GO 高齢者施設、買い物困難者等への移動式眼鏡販売サービス。能登被災地支援として輪島へ眼鏡500本の無料配布を実施。
https://www.jins.com/jp/jinsgo/
・みんなとつながる上毛カルタ 一般社団法人メノキとの連携 視覚障がい者、健常者も共に楽しむことができる立体になっている上毛カルタの開発 教育機関での出張講座なども行っている
https://park.jins.com/series/jinsnotanemaki/menoki/
株式会社ジンズでは様々な地域活性化の取り組みを行っており、今回掲載した社会貢献活動はほんの一部です。
JINSPARK前橋について https://www.instagram.com/jinspark_maebashi/
株式会社ジンズホールディングス
JINS HOLDINGS Inc.
代表取締役CEO 田中 仁
東京本社
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町三丁目1番地 安田シーケンスタワー
前橋本社
〒371-0046 群馬県前橋市川原町二丁目26番地4
1988年7月
下記事業を営む子会社等の事業活動の支配及び管理
アイウエアの企画、製造、販売及び輸出入 ウェアラブル端末およびそれらの関連商品の企画、開発、製造、加工、販売、賃貸、保守および輸出入 医薬品、およびそれらの関連商品の販売および輸出入