【取材】「表現行為や芸術支援を福祉の軸に」NPO法人工房あかねさん
「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が平成30年6月13日に公布、施行されたことから、現在43都府県44ヶ所に支援センター、7つのブロックに広域センターが設置されています。
群馬県は、令和5年4月に「群馬県障害者芸術文化活動支援センター(こ・ふぁん)」が開設されました。「こ・ふぁん」は、「NPO法人工房あかね」、「NPO法人あめんぼ」、「(一社)あったらいいなをカタチに」の3つの団体が協力して運営しています。
9月に群馬県庁32階にあるYAMATOYA COFFEEで開催された、イベント「アーツアンドカフェ」にお邪魔して、群馬県障害者芸術文化活動支援センター(愛称:こ・ふぁん)、株式会社大和屋さん、群馬県障害政策課の方々から、お話を伺う機会をいただきました。
その際の記事はこちら→【県庁32階YAMATOYA COFFEE32にて「アーツアンドカフェ」展 】
今回は「こ・ふぁん」の事務局を担っている「NPO法人工房あかね」さんと、工房あかねさんの運営するアトリエ「ART・ON(アート・オン)」を訪問。実際に表現活動を行っているところを見学させていただき、代表の小柏さんと朝岡さんからお話を伺いました。
「アート・オン」は、オープンアトリエスタイルの生活介護・就労継続支援B型の事業所で、表現活動支援を得意とする障がいをもつ人たちが通っています。対象は、18歳以上の知的・精神・身体障害のいずれかに該当する方が利用できます。
▲エレベーターを降りると、さまざまな作品たちが出迎えてくれます。
中に入ると右側の大きな部屋では、色鉛筆で絵を描く人、PCに向かって絵を描く人、ゆびあみで編み物をしている人、ハサミで紙を切っている人など、それぞれが制作活動を行なっていました。
伺った日は10月末だったことから、ハロウィンにちなんだイラストやお面がいくつも出来上がっていました。
▼ちょうど目に入った大きな猿の絵。作者さんがいらっしゃったので、記念撮影に応じてくださいました。
最近は、障がいをもつ人たちのアート作品や制作活動に対して「空気感が違ってきた」、「絵を観る側も変わってきた」と小柏さんは感じるそうです。
これまでは障がいをもつ人たちの芸術作品の展示会などに来場するのは、福祉関係の人がほとんどでしたが、県庁32階で開催された「アーツアンドカフェ」のように、一般の方の目にも触れる場所での展示会も増えてきているそうです。
障がいをもつ人たちのアートや活動が認められるようになったことを喜ばしく感じる反面、「アーティスト」や「アート作品」だけが独り歩きをすることや、知的財産権などの懸念もあります。
「表現行為や芸術支援を福祉の軸」として、「当事者である、一人一人の作家、アーティストの幸せ」につながっていくことが大切だと、小柏さん、朝岡さんはおっしゃいます。そのためにもセンターが果たす役割は大事だと考えます。
群馬県障害者芸術文化活動支援センターが発足して半年。まだまだ手探り状態であり、試行錯誤が続いているそうですが、行政や企業、地域とも協力し合いながら、「すべての人が自由に表現できる社会に向けて」事業が発展していってほしいと思いました。
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★工房あかねさんでは、画材や工作道具などの寄付も募っています。さまざまな材料や道具があることで、より豊かな表現活動につながります。これ使えるかも!と思う物がありましたら、下記のホームページから工房あかねさんにお問い合わせください。
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- NPO法人工房あかね
所在地:〒370-0813 群馬県高崎市本町10-1イチカワビル4階
ホームページ:http://arton-akane.com/index.html
- 群馬県障害者芸術文化活動支援センター(愛称:「こ・ふぁん」)
群馬県では、障がいをもつ人たちの芸術文化活動の普及を支援するため、今年度「群馬県障害者芸術文化活動支援センター(こ・ふぁん)」を設置し、「ネットワークの構築」「相談支援」「人材育成」などに取り組んでいます。
「NPO法人工房あかね」が事務局となり、「NPO法人あめんぼ」「一般社団法人あったらいいなをかたちに」と共同でセンターを運営しています。
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