H31年度決算書調査
県内NPO法人802法人のH31年度決算書調査を行いました。(令和3年3月末現在)
決算書提出状況は以下の通りでした。提出済 639法人 未提出 163法人
提出は80%、未提出法人は全体の20%でした。
収益規模について
収益ゼロの法人が13%(98法人から84法人に減少)
1億円以上の法人は5%
億円以上の法人は介護保険事業、障害者福祉作業所、放課後等デイサービスなど制度化された福祉事業系法人が多かった。
調査法人の収益額合計と寄付額合計
収益額合計、寄付額は昨年度と比べやや減少。新型コロナウイルスによる活動休止、規模縮小などの影響がうかがえる。
NPO法人会計基準導入率と年度別導入推移
9割弱の法人が収支計算書から活動計算書に変わりました。会計基準導入率は年々上昇し、過去最高になりました。
導入率とは調査団体中、タイトルが活動計算書になっている団体の割合
会計基本項目の不備
貸借対照表の科目、次期繰越正味財産と貸借対照表の正味財産合計の不一致等、会計の基本項目不備の法人は1割程度で昨年度よりやや減少しました。
注記の添付状況
財務諸表の注記は、活動計算書、貸借対照表と一体となり、NPO法人のより詳しい情報を利用者に伝えるためのものです。したがってNPO法人会計基準では非常に重要なものとして捉えられています。助成金、固定資産、借入金がある場合は具体的に注記に記載することになります。
助成金、固定資産、借入金がある法人の注記添付率は54%で、昨年度49%と比較してやや増加しました。
収益規模別の注記添付率の割合
収益規模3000~1億未満の団体の注記添付率は一番高く60%。
一方で100万未満の団体では20%
収益規模が高くなると注記添付率も高い傾向が見えました。
重要な会計方針
NPO法人会計基準は2017年12月12日最終改正となりました。
会計基準に準拠して注記を作成した場合には、必ず「重要な会計方針」として記載します。
注記、重要な会計方針についてhttp://www.npokaikeikijun.jp/phpbb/viewtopic.php?f=4&t=187
2017年12月12日最終改正となっていたのは81法人で13%、昨年の79法人11%に比べやや増えました。
事業費より管理費が大きい法人割合
福祉作業所運営など比較的収益規模の大きい法人は、管理費のうち役員報酬や事業所職員の給与が占める割合が大きいケースがありました。
小規模法人は事業費をかけられないのでボランティアや物資を持込で事業を実施する傾向。管理費の内訳は、賃借料、住民税均等割り、総会及び理事会の会場代、印刷代経費等で事業費より大きくなっています。
役員報酬の計上
役員報酬は事業費、管理費ともに計上していないケースが殆どでした。
役員が事業所のスタッフを兼務している場合、給与として事業費に計上するケースもありますが、それ以外は役員報酬として管理費に計上されます。その場合、報酬の規程を役員名簿に表記しする必要があります。
H31年度の管理費における役員報酬と名簿の連動性についての調査は以下の通りです。
管理費に役員報酬がない団体は541(87%)
役員報酬がある団体は81(13%)、
そのうち名簿に役員報酬に関する記載のある団体は70
記載のない団体は11でした。
会計基準準拠率と寄付額割合について
決算書に不備がない法人ほど寄付を受け付けている法人割合が高く、寄付額も高額である傾向がありました。
NPO法人会計基準について http://www.npokaikeikijun.jp/
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