NPO法人伝統芸術ライブラリー
伝統を今に伝える
NPO法人伝統芸術ライブラリーは2012年12月に設立、前橋市を拠点にして義務教育・大学教育の現場において伝統音楽を中心とした実習と講義を実施しています。同法人の最も特色ある活動の一つである、小学校における箏を用いた授業の様子について、ご紹介したいと思います。
2014年1月30日(木)、前橋市立山王小学校で5年生を対象に筝曲演奏家でもある理事長岡部修吉さんによる箏の特別事業が行われました。
小中学校での伝統楽器を用いた授業では鑑賞や演奏の体験が一般的ですが、同法人ではイメージを箏の音色で表現するユニークな授業を行っています。授業実施にあたり、音楽担当の教諭と事前に打ち合わせを行い、箏の奏法など基本的な事柄について子どもたちが事前学習をした上で、作曲の時間を設けています。
授業内容「イメージを箏で表現しよう」
事前に、児童は「星」「滝」の動画を見て曲づくりのイメージを選択する
最初に岡部さんの演奏を聞いて、音づくりに対するイメージを高める
2人1組になって、予め決めていたテーマで作曲する
(箏の基本的な演奏技法を1つ以上いれること、曲の長さに大まかな決まりがある)
作曲に行き詰まったら、岡部さんに音づくりのアドバイスを求める
最後にいくつかのグループによる作品の発表とふりかえりを行う
岡部さんの演奏を聞いた児童は、「星」「滝」のどちらのテーマの曲だったか意見を出し合います。
目前での演奏に子どもたちは興味深々、音に対して、子どもたちが驚くほど高い感受性を持っていることが分かります。
創作中は、子どもたちが実に楽しそうに作曲に取り組む様子が印象的でした。
子どもたちは箏を通じて作曲することで、伝統的な奏法を自分の感覚で理解することができます。
子どもたちが楽しみながら取り組めること、自由な発想にまかせて最大限に創造力を引き出すことを、岡部さんは大事にしています。
授業の限られた時間の中で、邦楽をただ鑑賞・体験するだけでなく、創作することで子どもたちの心にはより深い経験が得られたのではないでしょうか。
伝統芸術を学ぶことについて、岡部さんは以下のような基本的な考えを持っています。
「箏などの和楽器はアジア、中国など様々な国や歴史、民族の文化交流があって独自に発展したものです。伝統芸術を学び、ふれるということは国境や民族を超えた平和のエッセンスを現代社会に伝えていく、ということだと思います。」
今後の展望のついて「学校で授業を行える指導者を育成し、活動の基盤を固めたい」と岡部理事長は語っています。
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