【報告】ポータルサイト制作の挑戦 ー2つの高校生NPOの協働ー
パネルディスカッション開催報告
ポータルサイト制作の挑戦 ー2つの高校生NPOの協働ー
1月21日(水)、次世代の担い手育成事業の一環として、パネルディスカッション
「ポータルサイト制作の挑戦 ― 2つの高校生NPOの協働 ―」 をNPO・ボランティアサロンぐんまで開催しました。
当日は、フリースクール・居場所関係者、行政関係者、関心のある市民の方々にご参加いただきました。
不登校の経験をもつ高校生や、身近に不登校だった友人がいる高校生たちが中心となって立ち上げた NPO法人あすしるべ と NPO法人TechNestling。
今回のイベントでは、この2つの高校生NPOが協働して取り組んだ、フリースクール等の情報を集約したポータルサイト制作についてお話しいしていただきました。
開催日時:2026年1月21日(水)14:00~16:30
開催場所:NPO・ボランティアサロンぐんま(群馬県庁昭和庁舎1F)
参加人数:会場15名、オンライン16名 計31名
- 発表者・パネリスト:橋本 龍之介さん(NPO法人あすしるべ 理事長)
- 発表者・パネリスト:有山 晃平さん(NPO法人TechNestling 執行委員長)
- パネリスト:飯塚 欣彦さん(群馬県生活こども部/群馬県子ども・若者支援協議会事務局)
- ファシリテーター:落合 哲郎さん(NPO法人ぐんま里山学校理事長)

第1部 高校生NPOによる発表
~当事者の視点から生まれた「情報をつなぐ」挑戦~
第1部では、2つの高校生NPOから、団体設立の背景や活動内容、そしてポータルサイト制作に至った経緯が紹介されました。
☆あすしるべの活動紹介☆
あすしるべは、不登校を経験した高校生や、不登校の問題に関心をもつ高校生を中心に設立された団体です。自身の経験や周囲からの「どこに相談すればよいのかわからない」「情報が多すぎて、かえって選べない」といった声に多く触れてきました。
発表では、「中学生の頃に、こうした情報があればよかったのに…」という実感が、ポータルサイト制作の原点にあることが語られました。当事者の視点を生かしながら、最初の一歩を踏み出すための“道しるべ”となる情報発信を目指している点が印象的でした。

▲橋本さん(NPO法人あすしるべ代表)
☆Tech Nestlingの活動紹介☆
Tech Nestlingは、不登校や社会的孤立を経験した若者が、安心してつながれるオンライン上の場づくりに取り組む団体です。MinecraftやDiscordを活用した交流の場の提供に加え、プログラミングや運営体験を通じたスキル習得支援も行っています。
「学校に行けなかった時期でも、オンラインには居場所があった」という利用者の実体験から、テクノロジーを“逃げ場”ではなく、“力を取り戻す手段”として活用していることが語られました。

▲有山さん(NPO法人TechNestling執行委員長)
☆協働が生まれた背景☆
今回のイベントでは触れられていませんでしたが、ポータルサイトの制作は、当初から2団体が一緒に動いていたわけではありませんでした。はじめにNPO・ボランティアサロンぐんまに相談に訪れたのは、あすしるべ代表の橋本さんでした。相談をきっかけに、一般社団法人ポータルの代表の古井戸さんを通じてフリースクール関係者や行政との橋渡しが行われました。
その後、オンラインでの居場所づくりやICTを活用したエンパワメントの活動を始めたTech Nestlingの有本さんと、同じ学校に通うあすしるべメンバーとのつながりから、「一緒にやってみよう」という流れで協働が始まりました。
課題意識を言葉にする「あすしるべ」と、技術を使って形にする「TechNestling」。それぞれの強みを生かした協働は、当事者や当事者に近い高校生だからこそ生まれた取り組みと言えます。

第2部 パネルディスカッション
~「必要な情報を、どう届けるか」~
第2部では、「必要な情報を、どう届けるか」をテーマに意見交換を行いました。ファシリテーターの落合さんからは、フリースクールの現場で寄せられる保護者や子どもたちの声が紹介され、「情報はあっても、必要な人に届いていない」現状が共有されました。

▲左から、ファシリテーターの落合さん(NPO法人ぐんま里山学校理事長)
橋本さん、有山さん、
飯塚さん(群馬県生活こども部/群馬県子ども・若者支援協議会事務局)
高校生から「行政の情報は安心感がある一方で、言葉が堅く、当時の自分には読む気になれなかった」「年齢の近い先輩の言葉だからこそ、最初の一歩を踏み出しやすい」といった実感が語られました。情報の正確さだけでなく、“誰の言葉として伝わるか”が大きな意味をもつことが浮き彫りになりました。
また、県の飯塚さんからは、制度や支援策があっても十分に知られていない課題や、若者の発信を今後どのように生かしていけるかについてコメントがありました。
不登校を経験した橋本さんの「今が一番つらいと感じる時期でも、子どもは一年で大きく変わることがある。悲観しすぎなくていい」という言葉は、支援する側にはしっかりと刻まれたと思います。
また有山さんからは、ポータルサイトや自身の運営するオンライン上の居場所について「将来、利用した中学生や高校生が、今度は運営側として関わってくれたらうれしい」という声も聞かれました。
一方で、ポータルサイトの運営をどのように引き継いでいくのか、そしてその過程で支援者や大人がどのように関わっていくのかについて、サイト制作を担った2人や他の登壇者、そして参加者のみなさんにも課題感が共有されたのではと思います。

おわりに
今回のパネルディスカッションは、高校生NPO同士の協働を通して、必要な情報を整理し、誰に、どのように届けていくのかを、多様な立場で考える機会となりました。
ポータルサイトの完成は一つの節目です。今回の挑戦が、若者たち自身の次の活動や、新たな協働へとつながっていくことを期待しています。
このパネルディスカッションの3日後には、あすしるべのメンバー主催によるシンポジウムが、前橋市内で開催されました。不登校だった頃の経験を語る場となり、不登校や学校生活に悩みを抱える生徒の保護者をはじめ、学校関係者、支援者、行政関係者など約100人が集い、熱心に耳を傾けていました。
不登校を取り巻く環境は、以前と比べると少しずつ理解が進み、情報も得やすくなってきているように感じます。一方で、不登校を経験した当事者自身が、主体的に発信する場は、いまだ限られています。今回のパネルディスカッションや、その後に続いたシンポジウムは、若い世代の当事者が中心となって活動し、発信した点に大きな意義がありました。
そこには、次世代の担い手育成事業の一つであるFreecoのメンターとして、比較的年齢の近いポジションとしてポータルサイト制作の相談役を担った一般社団法人ポータル代表の古井戸さん、シンポジウム開催の実現まで伴走支援を行ったNPO法人Next Generation代表の小高さんの存在がありました。こうした支えがあったからこそ、安心して活動を進めることができたのだと思います。
NPO・ボランティアサロンぐんまでは、次世代の担い手育成事業として事業を進めてきましたが、一連の流れを通して、若い世代がさらに若い世代を支え、自分たちの「やりたい」を形にしながら、ボランティア活動や社会貢献へとつながっていく姿を見ることができました。このプロセスそのものが、エンパワメントであり、NPO・ボランティアサロンぐんまの役割だと再認識しています。
《参考情報》
群馬県ホームページ(不登校の児童生徒への支援) https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/55981.pdf


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