特定非営利活動法人 なのはな園
特定非営利活動法人 なのはな園は群馬県邑楽町で障害を持つ児童を対象とした学童保育を行っている団体です。今回はなのはな園理事長の遠藤 みゆきさんにお話をお聞きしました。
なのはな園は1991年(平成3年)3月に障碍児学童保育所として設立されました。初めは邑楽町にある民家を借り受け障碍児の一時預かりを始め、運営はお母さんたちボランティアで行われていました。1994年からは遠藤さん宅の敷地内にプレハブ小屋を建て、新たな活動拠点となりました。
その後2002年10月心身障碍児集団活動訓練事業助成が決定、県と町から助成金がもらえることになり指導員2人とアルバイト2人体制の保育となりました。そして2009年10月にNPO法人 なのはな園となり、翌2010年4月に児童デイII型に完全移行しました。
活動を始めたきっかけは理事長の遠藤さんの息子さんが障碍を持っていたことでした。障害を持つ子供とその親は家にこもりがちになることが多く、遠藤さん自身もその一人でした。世間の目など苦労も多く、家で泣いていることもあったそうです。そのため障碍児とその親のために交流の場が欲しいと考え、なのはな園を立ち上げました。
なのはな園には現在、特別支援学校や特別支援学級に在籍する23人(定員20名)の児童が通っており、年齢層は小学生から20歳までとなっています。親からのニーズを踏まえ計画を立て、児童1人に指導員1人が付き個別支援をしています。療育訓練では料理やお面を作ったり、DVDを見るなど児童の状態に合わせた訓練を行っています。
また、音楽活動もおこなっており、助成金を活用して「なのはなバンド」を結成したり、1992年から定期的に福祉コンサートを開催するなどしています。
なのはな園を立ち上げた当初は任意団体としてボランティアにより運営していましたが、NPO法人となり児童デイII型に移行した現在では、14人のスタッフが有償で働いています。
なのはな園はかつて保育園だった町有施設を利用しており、同じ建物内には健常児の学童も入っています。一時期はなのはな園で健常児を預かったこともあるそうですが、健常児と障碍児の間でトラブルが起こることもあり、統合保育の難しさを感じているそうです。
長く活動を続ける中で、遠藤さんは20歳以上の障碍者の行き場がないことを課題と感じています。現状では児童デイII型という制度上、20歳以上は受け入れることができません。作業所や施設に入ろうにも空きがなく、経済的負担も大きいなど様々な問題があります。医学の発達とともに障碍者も高齢化が問題になってきおり、障碍者の親は将来に非常に不安を感じています。
障碍児を持つ親は子供の将来をとても心配しています。遠藤さんは立派な施設はいらない、障碍者の居場所を確保したいと考えています。障碍児・者、そしてその親が安心できる社会になってほしいと語っていました。
(佐藤)
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