失敗しない委託契約
NPOと行政の委託契約において、住民監査請求や告発トラブルが茨城県、岩手県でおきています。
何がおこっているのだろうと色々情報収集するなか、様々な課題が見えてきました。
きちんと問題を整理し、学習できるような機会がないか探していたところ、新潟の上越市で失敗しない委託契約という勉強会が9/11にあることがわかりました。
くびき野NPOサポートセンターが主催し、持続性のある運営と継続的なサービス提供のために、というサブタイトルで上越市市民プラザで開催されました。
講師の四日市大学総合政策学部教授 松井真理子さんから、「NPOと行政の協働を進める委託契約のあり方」について色々お話しをうかがいました。
委託契約の現状分析で再認識したことは
契約の積算において客観的な積算基準がないこと
直接費のNPOの人件費への理解不足から、スタッフ人件費が含まれない契約が70%以上であること
直接費が不十分な現状の中、間接費を積算した契約は4.5%とほとんどないこと
これによりNPOは間接費を生みだす手段として、身を削るか、実態と異なる積算をするというモラル低下が問題
NPO側も税金をはじめ、会費、寄付という公金で事業を展開する以上、必要な経費は必要なものとして、しっかり積算し、正しく活用し、情報公開が求められているということがよくわかりました。
積算をしっかりする(フルコストリカバリー)という考え方が大変参考になりました。
イギリスのACEVO(Association of Chief Executines of Voluntary Organisations)が
研究・提言した間接費には下記のような内容が含まれます。
①事務所コスト(家賃、施設維持費、光熱水費、パソコン、事務所机等)
②本部機能コスト(代表・事務局長等に関する諸経費、財務、人事に関する諸経費等)
③ガバナンス・戦略開発コスト(税理士等経費、理事会費、研修費等)
④資金調達コスト(寄付イベント、DM等資金調達にかかる経費)
NPOのコストへの理解を高めるツールとして有効ではあるけれど、
サービスの売り手としてのNPO側が主張するコストがそのまま通用するわけではなく、
行政・市民が求めるサービスへの対価としての価格とのバランスの中、限界もあることは
理解しておく必要があるようです。
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