2026年1月29日(木)13時30分から16時30分、県庁32階NETSUGENにて協働ミーティング「薪づくりで街づくり、そして人づくり。」を開催いたしました。

群馬NPO協議会 櫻井弥生 会長による開会挨拶
会場とオンライン参加でのハイブリッド開催で、NPO等18名、行政14名、企業8名、教育機関等3名、個人4名 計44名の方が参加されました。
群馬県ではNPO、企業、学校、行政など多様な主体による協働を推進しています。
協働ミーティングは地域で様々な取組を進める方々からの話題提供と、参加者を交えたフリートークにより地域課題の解決を目指し、2021年から開催されています。
第6回目となる今回は、社会福祉法人チハヤ会とみどり市が行う林福連携の薪づくりプロジェクト
(木の駅プロジェクト)を事例に、協働による地域課題解決と地域づくりの未来について内容を進めていきました。
前半:協働事例発表
「薪づくりで街づくり、そして人づくり」~森と人を結ぶ~

左:福本 昌彦 氏 右:石戸 悦史 氏
社会福祉法人チハヤ会の活動について
常務理事・統括施設長 石戸 悦史 氏から発表がありました。
社会福祉法人チハヤ会はみどり市で活動しています。
未来へのチャレンジ、「共に歩み、共に生きる街の創造」を活動の基本理念としています。
主な活動は
・障害福祉事業
・子どもの居場所
・木の駅事業
みどり市の課題
①子どもが多い、子育て支援、様々な家庭環境にある子どもの居場所
②林業 市内の木材が県外へ流出している、CO2削減、里山整備
↑地域課題解決のため、①と②をつなげることで何かできないだろうか?
チハヤおむすびプロジェクト(2020年開始)~林福連携の始まり
人・モノ・思い・物語をつなぐことで、連携により様々な可能性を増やすプロジェクト
おむすびeco隊 みどり市天神山の里山整備
・障害のある方も軽作業に参加して里山整備とともに共生社会実現へ
おむすび堂(県内初の日本財団 子ども第三の居場所コミュニティーモデル)
・子どものための安心・安全な遊び場、食堂(子ども食堂/食事)、体験、居場所を提供
・薪ストーブ、ボイラーの設置
・年1回、子ども達、おむすびeco隊と関係者による里山整備(企業・行政・学生・障害者・スタッフなど)、終了後の交流会
MAKITについて
MAKIT管理者/イノベーションディレクターである福本 昌彦 氏から発表がありました。
障害者の芸術表現の場 エイブルアート
・障害者アートの更なる可能性、木工アート→他職種連携、他職種交流による新たな可能性、福祉業界の外へと出ていくきっかけ
・福祉同業界では連携がなかなか進まない
・障害への差別と偏見を失くす、地域共生社会の実現
・障害のある方が輝く機会
・魅力ある仕事の創出 ビジネスモデル
里山整備、木の駅事業への発展
・みどり市総合計画…林業、自伐型林業者と協働し、地産地消、林業活性化を図る
木の駅事業
・2025年4月開業 みどり市内の森林で伐り出された材から薪を生産し、市内温浴施設の薪ボイラーで利用
・市内木材を有効活用 林業活性化、森林資源循環利用
・新たな事業創出により雇用創出
・林福連携の推進
・木の駅事業の受け皿 MAKIT就労継続支援B型施設
・障害者の方の働く場(木材加工、カフェ、野菜づくり、アート作品)
・林業家の協力
・アート作品の商品開発→売上をおむすび堂運営に
・障害者が地域、子どもの支援に貢献することができる仕組み

後半:パネルディスカッション
MAKITの協働に関わっている方にご登壇頂き、協働の役割や詳細なエピソードについてフリートークでお話し頂きました。
ファシリテーターは特定非営利活動法人中之条コネクト理事/事務局を務める枝 拓未 氏です。
中之条町の地域おこし協力隊として着任後、地域の人々とともに中之条コネクトを設立、現在は事務局として農家の担い手づくりや地域の人材育成を行って活動中です。
枝 拓未 氏

左2人目:伊藤 友樹 氏 右:持田 知泰 氏
実際に協働に携わった官民それぞれの立場から、協働のきっかけや役割について、フリートークでお話頂きました。うまくいったこと、いかなかったこと、異分野ゆえに分からなくて苦労したこと等が話題になりました。
登壇者紹介
みどり市産業観光部農林課林政係 主任 持田知泰 氏
みどり市農林課で林政業務を担当。市内林業従事者への支援事業や市産材の流通、森林経営管理事業等に携わっています。木の駅プロジェクトでは運営全般に係る事務、補助金等の手続き、重機等の備品整備などを担当。林野庁へ出向経験あり。
林業家 伊藤 友樹 氏
2021年にみどり市地域おこし協力隊に着任。林業振興に携わる中で、森林資源の六次産業化を推進し、エッセンシャルオイルブランド「森の香。foreal(もりのか。ふぉれある)」を立ち上げる。商品の販売のほか、工房での体験ツアーなどを通じて、森と人をつなぐ活動を展開。現在は林業フリーランスとして活動し、林福連携事業の「木の駅プロジェクト」にも技術者として参画するなど、地域資源の活用に力を注いでいる。
協働のきっかけ
障害者の方の木工アート製作のため、木材の無償提供を林業家の方にお願いしたことがきっかけで、みどり市の地域内エコシステムに参加しないかと声がかかる
福祉系の同業種では以外と連携は進まず、林業と福祉の林福連携という異分野同士の新たな試みが始まりました。異なるセクターのつなぎ役という連絡係がいた訳ではなく、それぞれが専門分野での業務を全うすることで自然に歯車が回ったような感じで事業が進んだようです。
とはいえキーパーソンとなった人物がいるようです。
みどり市では林野庁職員と人事交流があり、前担当職員が地域の未来と障害者理解を含めた事業計画を推進してくれたそうです。
お互いを全く知らない、異業種、異分野同士での協働が進んだコツとは?
・会議の積み重ねで、お互いの考えを知る、理解を深める
・現場へなるべく足を運ぶようにする
・つくりたい地域、目標などのそれぞれの思いを共有する
・うまくいかない時は、お互いの目標がずれている
信頼関係の根源は?
・約束をどう守るかの積み重ね
・報告、連絡、相談と情報共有
・協力者それぞれに取れ高があること(金銭的以外にも周囲からの応援、協力や笑顔など)
・潤う人が増えることが事業が長続きする秘訣
協働で大変だったこと
・最初は林業関係の専門用語が全く分からなかった
・当初は福祉の分野外の方に、障害者への合理的配慮、差別解消といった概念が理解されにくかった
・夏場の猛暑時に薪の生産量が低下、季節による生産量の波を作る必要がある
・事業開始の頃に、行政の担当職員が異動になっていしまい、関係性を再構築する必要がある
協働をするために大切なこと
・思いや物語をつなぐ、自分たちの物語を明確にする→共感や共鳴を得ることにつながる
・ご縁を大切にする
・異業種のコラボはすべての業界から注目される、道を切り開いていくチャレンジ精神
参加者からの質問
・協働において、行政などトップの意向や役割をどのように感じるか?
→みどり市総合計画、5つのゼロ宣言もあり、木材の地産地消は市長にとって関心の高い分野でもある。また森林協力隊は全員市に定住している。
・なぜ同業界のコラボは難しいのか?
→同じ規模の中小企業のような感じでライバル意識もあり協力よりは競合してしまう。成果が出にくい。
・協働における人材育成はどのようにしていますか?
→組織として明確なビジョンを持ちスタッフに浸透させるのが大切。ビジョンという土台があって、研修などの技術(スキル)がある。
・協働の原動力は何ですか?
→事業を継続していくこと、成功体験の積み重ねと感謝の気持ち。自分達が学び続けること。早く成果が見たいという気持ちで今やっていることを止めないこと。
おわりに
NPO・ボランティアサロンぐんまでは過去に協働事例発表会を開催しましたが、MAKITのような協働事例の関係者複数にご登壇頂いたのは今回が初めてでした。
参加者の方にとっても、官民の役割、異業種それぞれの視点などを知る機会となってのではないでしょうか。
MAKITは他業種交流の林福連携プロジェクトですが、関係者にとってみどり市の未来を良くしたいという思いは一致していたのではないかと思います。林業、環境問題、障害者、子どもといった観点から、地域の人々が未来もいきいきと暮らしていくにはどうしたらよいか?そのように考えた時この計画は生まれました。
官民の立場の相違を乗り越えるために、行政側が現場に足を運ぶ回数を増やしたり、お互いを理解しよう、歩み寄ろうという気持ちと努力が相互にあったと思います。林業と福祉を組み合わせることで、複数の地域課題に同時に働きかける大きな循環が生まれました。
前例のないことを始めるのは大きな挑戦ですが、登壇者の方々のトークを実際に聞いて、地域の未来にかける情熱と意欲を感じました。そして何より前向きな姿勢と明るさがありました。何度も話し合いを重ねることで形成された信頼関係が、協働の基盤となっていると感じました。
参考
MAKITについて https://www.chihayakai.jp/forestwood
森の香。foreal https://www.foreal.jp/
チハヤ会訪問記録 https://nposalon.kazelog.jp/npo/2025/12/makit-4a00.html